Roland RD-2000 を試奏してきましたの巻

印象を箇条書きでまとめます。

  • 従来のRDシリーズより軽いタッチの鍵盤。白鍵はまずまずだが、黒鍵の材質がよくなく、弾き心地はいまひとつ。(黒鍵が良くないのは、他メーカーでもありがちです)
  • サウンドは落ち着いた印象の音色が多いです。V-piano音源はサスティン部の響きのシミュレーションに違和感があって、音数が少ない曲をソロでポロンポロンと弾くのは厳しそう。パラメータを追い込めば気にならなくなるかもしれません。
  • ピッチベンダーとモジュレーションホイールが2つついたのはありがたいが、88鍵の左端で遠いので、操作がむずかしい。
  • 最近のローランド製品らしく、いろいろ光ります。
  • ノブやスライダーなどの操作子の動作感が少々安っぽいけど、プログラムチェンジボタンなどを含め適度に大きくて押しやすく、好感触です。
  • 液晶ディスプレイが小さく見づらい。ディスプレイサイズが小さいし、フォントも小さい。INTEGRA-7あたりからの流用かと思いますが、もうちょっとなんとかならなかったのかと思います。変なところでコストダウンした感じ。
  • サイズ感は思ったほど大きくなかった。RD-300と並べて置いてあったのですが、同じ大きさに感じました。
  • USB-MIDIモードが2つあるのはローランドの伝統で、本体のDAを使いたいときなどはVENDERモードにしないと動作しないので要注意。基本的にはVENDERモード固定で使うのがいいと思います。(グローバルパラメータです)
  • たぶん買います。ヤマハP-300*1以来のステージピアノ購入になりそう。

*1:現役で使ってます。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ終了の巻

一期は鉄華団を中心にした一種のロードムービーで、二期は鉄華団の崩壊が描かれました。二期はなかなか視点が定まらず迷走した感もありますが、ラスタルとクーデリアの姿勢がブレなかったので、なんとかまとまったと思います。

そのラスタルですが、二期の最初のエピソードでいきなり堂々と登場させたのは、シリーズ構成上問題があると思いました。一期のうちにもっと出しておくべきだったと思います。また地球で小競り合いをだらだら続けていましたが、リソース(ヒト・モノ・カネ)には限りがあるのに、そのあたりを全く気にしないのは、演出としていかがなものかと思いました。鉄華団がいつもカツカツな状態(一期は貧乏体質、二期は人不足)でやりくりしているので、潤沢なギャラルホルンを対比として見せたかったのかもしれませんけど。

こんな感じでいろいろ問題はありましたが、性格が変質してしまったマクギリス以外は最終回までブレずに描けていて、キャラクターの魅力で持ったアニメだという印象が強かったです。

あとはそのキャラクターについての感想です。

自分が気に入っていたのが、まず昭弘です。昭弘と三日月の関係性は、一期の最初からじっくり描かれていましたし、デブリの子たちにアルトランド姓を与えるなどして、鉄華団が家族であるということを具体的に示したキャラだったと感じました。

次のお気に入りキャラが、問題のシノです。なぜ問題かというと、おっぱい魔人のノンケ男子だと思っていたら、公式からバイセクシャルという情報が出まして、ちょっと混乱したからです。ですが、よくよく考えるとバイだということで逆に納得できるシーンもあったので、腑に落ちた次第です。どの場面かというと、ヤマギが好意を寄せていることを認識して、真剣に悩むところです。そもそも真剣に悩んでいるのがノンケとしては変な感性だと思いますし、しかも「俺たち家族だろう?」と言って悩んでるんですね。家族でなかったら、ヤマギの好意を受け入れられる可能性があったのか?ということになりますが、なるほど可能性はあったんだな、ということですわ。

以上のシノのバイセクシャル判明事件*1は、腐った鉄血クラスタへの激震?になりまして、自分がこのエントリを上げるのが遅れた原因も、ひとえにこの一件が納得できなかったことによります。アニメキャラのセクシュアリティなんかどうでもいいと思っていたんですけど、シノはそういうわけにはいかなかった。過剰にノンケっぽさを装っておっぱいおっぱい騒ぐのは、若いゲイやバイセクシャル男子のあるある事情だったりするということですし、いつも明るくてバカっぽく振る舞っているシノが、実は人一倍愛情深い人間だということは端々で描かれていて、自分はそういうところが好きでした。ヤマギの気持ちがなんとなくわかります。おっと、シノの項目が長すぎですね。

あと、どうしても言及したいのがジュリエッタです。彼女はギャラルホルンにいながら、鉄華団のことを最も理解していました。ガエリオが、将来ギャラルホルンを統轄するのは彼女だと言っていましたが、この明晰な洞察力と*2、野心のなさ*3を買ったからだと思います。もちろん、マクギリスも鉄華団に対する理解というか、親近感を持っていたのは事実ですが、彼自身もオルフェンズの1人だったことを考えれば、ある意味では当然ともいえます。ジュリエッタは何度も三日月とバルバトスに圧倒されながら、「なぜ彼らはこうも抗うのだろう」と自問しながら鉄華団と戦いました。バルバトスを討ち取った勝ち名乗りには、悲痛さすらありました。さらに、鉄華団との争いが集結した後も同じように、なぜ、と考え続けていたはずです。そして最終回Bパートの結論に到達する流れは、とても納得がいくものでした。ギャラルホルン側のキャラ描写で一番成功したのが、彼女だったと思います。

ほかにも、クーデリアの成長ぶりとか*4、怒涛の攻めで正妻ポジションをゲットしたアトラとか、大勢の登場人物をよく描ききったと思います。最終回で1カットでいいからアルミニアが登場してほしかったですね。そこがちょっと残念ですけど、キャラ描写に関してはとても充実していたアニメで楽しかったです。

*1:勝手に事件化

*2:こういう能力は、ガエリオにはなかった。

*3:なんだかんだでラスタルは野心家

*4:最終回の調印シーンは、双方ともいろいろ思うところはあるけれど、ということがよくわかる名シーン

オーチャードホールの巻

アクセス

渋谷地下街3a出口、つまり109の地下からエレベーターで上がって、道玄坂に入るのが一番行きやすいと思います。井の頭線の神泉からも行きやすい。
ホール入口は道玄坂からさらに上がったところにあるので、まず東急本店に入って、その奥のBunkamuraに行くとエスカレーターやエレベーターでホール入口まで段差無しで到着します。

構造的欠陥

ステージ後方の楽器(合唱団含む)の音は、反響板からの反射音のほうが大きく聞こえる座席があります。天井がやたらと高いので音の到達が0.1秒以上遅れます。これはテンポ120で16分音符1つの遅れに相当するので、致命的です。この欠陥の影響を受けないのは、すべての楽器から直接音が届く座席、すなわち1階席前方、2階席・3階席の前方しかありません。
クラシックの場合、ピアノソロや編成の小さい演奏会では問題にならないと思いますが、大編成の場合は覚悟が必要です。ポップスのようにPAを使う場合は、特に問題はないと思います。

シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽の巻

23日の昼公演・夜公演の2回聞きました。

昼公演は1階席の後方になってしまい、音量は小さいし合唱やパーカッションの音が半拍くらい遅れて聞こえる*1という最悪の音響で、ろくに楽しめませんでした。この件に関しては、ホール評価のエントリーをあげましたので、興味のある方はご覧ください。夜公演は1階席中央前方で、音響の問題はほとんどありませんでした。

 

harnoncourt.hatenablog.com

1.プログラム構成

下記のようにシンゴジラエヴァの曲が交互になる構成です。

第一部:シンゴジ→エヴァ→シンゴジの3パート

第二部:シンゴジ→エヴァ→シンゴジ→エヴァ→シンゴジの5パート

第三部:シンゴジ→エヴァエヴァ+シンゴジの3曲(アンコール風)

第二部のラストで東海大学吹奏楽研究会のみなさんが入場して宇宙大作戦マーチは盛り上がりました!

2.アレンジについて

シン・ゴジラエヴァンゲリオン」ということで、エヴァTV版の曲にシン・ゴジラ劇伴のパッセージを混ぜたアレンジ曲が多かったです。また、バンド演奏とオケ演奏を行ったり来たりような、演奏が難しいアレンジありました。新劇場版の曲はオリジナルに近いアレンジでした。こうなった要因としては、TV版の楽曲はコンボ編成でアレンジの自由度が高いということと、その反面、新劇場版やシン・ゴジラの曲はフルオーケストラが基本で、アレンジ変更が容易でないという事情が関係しているように思います。

3.演奏の印象

ニコニコ動画でも中継された23日の夜公演は最終公演ということもあり、ソロの即興がフリーダムで楽しかったです。(実はこういう状況を期待していました)

ただ鷺巣先生がフリーダムすぎて、THE BEASTではキーボードに肘鉄を打ちまくって破壊してしまいました(笑)

本公演は、セクションごとにマイクが立っていたので、マルチで録音されていたと思います。ニコ動で中継されなかった公演でもマイクとカメラが入っていたので、CDやBlu-rayの発売がありそうです。また、4月30日にBSプレミアムで短縮編集版が放映されるとのことです。

*1:反響板に当たった音が大きく聞こえるため

Roland RD-2000 がハイ・レゾリューション・ベロシティに対応していたの巻

まもなく発売になるステージピアノRD-2000ですが、ハイ・レゾリューション・ベロシティの送受信に対応するそうで、期待がさらに高まりました。

ベロシティというのは、鍵盤を弾いたときの強さ(正確には打鍵速度)のことで、MIDI規格では127段階(7ビット長)になっています。しかし、これでは足りないということで、1024段階とか、それ以上の分解能を持つ製品が登場してきました。こういうベロシティのことを、ハイ・レゾリューション・ベロシティと言います。

日本ではカシオのデジタルピアノがハイレゾベロシティ化されていて、特に上位機種のGP-300やGP-500は弱音の表現力が際立って優れていると思います。ただ残念ながら、日本製ではカシオ以外でメジャーな製品はありませんでした。*1

アコースティックピアノでは、打鍵の強さに合わせて音色も連続的に変化しますが、ローランドの音源ではベロシティ数値が1変わるだけで、明確に音質・音量が変わってしまいます。つまりグラデーションのような、無段階にきこえる演奏表現ができません。自分が使っているINTEGRA-7のピアノ音は、この現象が顕著にわかります。

RD-2000にはV-piano音源のほかにINTEGRA-7と同じSuperNatural音源のピアノも搭載されますが、ハイレゾベロシティの恩恵を受けられるようなので、今からかなり楽しみです。

 

*1:ヤマハのディスクラヴィアが対応しています。

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ2期 BGM Crescent Moon を演奏してUPしましたの巻


機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ2期 BGM メインテーマ piano verを弾いてみた

シノが死んで悲しいので弾きました。

実は鉄血2期の劇伴はあまりピンと来なかったんですけど、この曲はいいなと思っていていつか弾こうと思っていました。昨日たまたま46話を見直していたら、ユージンがシノの言動を回想するシーンでフルバージョンと思しきものが劇中に流れたので、それを耳コピしています。

採譜、演奏とも昨日のうちにやってしまいまして(行動が早いですね)、今日は編集だけでした。表現力勝負の曲なので、強弱と音色に気をつかって演奏しました。和音やオクターブで弾くときの構成音の音量差の付け方を、いままでとはちょっと変えた部分があります。通常は一番上の音を強調するんですけど、クレシェンドするときなどまず下の音を強調して、本格的に盛り上がりはじめるところで上の音を強調するとか、まあディテールですね。
この週末は、本来はアイドルマスターSideMの全体曲 DRIVE A LIVE を録音する予定だったんですけど、持ち越しです。ツイッターのフォロワーさんや、このブログの読者でSideMやってる人はいなさそうだし、期待もされてないだろうからw

しかし鉄血は本編がつらすぎて、自分を含めファンのみなさんは神経をすり減らしながら見ていると思います。あと3回なので、なんとか乗り切りたいです。

宇宙戦艦ヤマト2202 第1話に見る演出作法の巻(ネタバレあり)

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宇宙戦艦ヤマト2202が公開されました。
劇場限定Blu-rayを購入したら、いつもの絵コンテ集だけでなくシナリオも付いてきました。

アニメ制作はシナリオ→絵コンテ→原画→動画という順で、絵コンテの段階で具体的な画面演出が入ります。また多くの場合は、絵コンテ段階でシナリオのカットや改変が行われます。今回のヤマトもなされていて、結果的に第1話の印象が大きく変わったと思われますので、その件に関して、感想を交えつつまとめたいと思います。

1.謎の惑星侵攻シーン
最初と最後のズォーダーのセリフ以外は全部カットされ、まったく説明無しの殺戮シーンが展開されます。
ガトランティスの大艦隊が侵攻した惑星が何なのかわかりませんし、おそらくその惑星に関係するであろうテレサというもの(これも人なのか何なのか説明がない)に対してズォーダーが執着している、という程度のことしか読み取れません。
これはなかなか思い切った展開です。ヤマトというとキーとなる惑星が映ればその星の名前のテロップが入り、女神様は「私はイスカンダルのスターシャ」「テレザートのテレサ」「シャルバート星のルダ」等々、、最初からしっかり自己紹介をしてきます。それをしなかったのは、往年のファンからすると新鮮に思えます。

2.浮遊惑星戦闘シーン
シナリオではガミラスやガトランティス人の描写もありましたが、古代(ゆうなぎ乗務員)のセリフ以外は、ほとんどカットされました。なので、いつどこで戦っているのか、さっぱりわかりません。
この戦闘シーンで印象づけなければいけないことはいろいろありますが、重要なものは(1)地球+ガミラス対ガトランティスという構図、(2)その現状に対する古代の焦燥感、(3)地球・ガミラス双方から承認されるアンドロメダ波動砲、(4)ガトランティスの特攻戦術、この4つになります。
古代の、沖田+兄譲りの戦術(敵陣に突っ込んで活路を見出す)を、絵だけで表現したのは見事です。整然と、しかし何も考えられていない密集陣形で消耗戦を繰り広げる地球・ガミラス・ガトランティスの艦隊戦に対する古代の忸怩たる思いを、ゆうなぎの戦い方で見せていると思いました。

3.ヤマト始動
シナリオでは古代の発案でヤマトを使用するのですが、カットされました。この部分がカットされたことで、結果的に「こんなこともあろうかと」風な真田さんになりました。これも非常にスピード感のある展開になったので、良かったと思います。
第2話で古代だけが軍事法廷のようなところに召還された背景には、上記のカットされた部分が影響していると思います。実際に動いたのは真田さんですから、彼も召還されるべきなのですが、ガトランティス兵自爆事件の後処理を優先させられたのだと想像します。

以上まとめますと、適度なカットが入ることでテンポが速くなって展開に推進力が生まれ、観ている側に謎と想像の余地を与えた第1話ということになると思います。

 

**** 第2話について ****

第2話のテーマは「自分たちはこんな地球のために戦ってきたんじゃない」です。
さらば宇宙戦艦ヤマトのときは、そうだろうなあ、くらいに思っていていました。しかし実は現代でも同じだろうし、いつの時代でも、人々は同じことを考えていたのではなかろうか?という、福井さんらしい問題提起ではないかと思いました。
また、大戦艦の特攻やガトランティス兵の自爆は、さらばヤマト時代はカミカゼ戦術のメタファーに見えたのですが、現代の感覚ではまさに自爆テロです。同じことをやっても、時代が変わると見方も変わるということを最初から示しているのが重要だと感じました。