今日のフォトムジーク(reface CS版)進捗の巻3

昨日は仮音でもいいや、くらいの気分で録音を進めていて、今週末までに半分くらい置き換えようと思っていましたが、1日経過して改めてヘッドフォンで聞いたところ*1けっこう良いと思いました。ということで、エフェクトの修正を中心に作業を行いました。

ただし、どうしても気になっていたコードバッキング音をゼロから作り直して録音しなおし。これはかなり似せられたのでリベンジ成功です。

個々の音色のエフェクトはそこそこ追い込みできました。
具体的には、dbxでコンプしたあとさらにDAWでコンプするとか(主メロ)、refaceでフランジャーをかけた音にDAWで追いコーラスするとか、リバーブ2回がけとか、多重エフェクト技です。こういうことをやると芯がぼやけたサウンドになるんですけど、それを狙ってます。昨日の段階ではかなり芯がはっきりした野太いサウンドになっていたので、全体的に輪郭をぼかしてなじませる作業ですね。

これで概ねいい感じになったので、試しにマスターにOzoneを挿して自動マスタリングしたところ、さらにコンプレッサーを効かせてくれて、かなり原曲に似た雰囲気になりました。予想以上に上手く行った感じ。いつものアコースティックピアノの演奏ではほとんどコンプを使わないんですが、エレクトリックな音楽はコンプ2度がけは基本ですね。サウンドの質感が全然違う。

本チャンのマスタリングでは、Ozoneに本物のフォトムジークのサウンドを学習させたAIマスタリングをやろうと思っています。これがOzone 8の売りなんですけど、うまくいくかしら?

*1:昨日はヘッドフォンを使わなかった

ヤマハ reface CS レビュー&使いこなしの巻

本格的に reface CS を使い始めたのでレビューを兼ねて機能紹介をします。

※まずはトリセツ(直リンク)

https://jp.yamaha.com/files/download/other_assets/5/438815/reface_ja_om_b0.pdf

12ページの波形/TEXTURE/MOD/LFOの関係表が超重要です。この部分が reface CS と他のシンセの大きな違いです。ディープなシンセオタクなら一読しただけで内容を理解できると思いますけど、詳しくない人はこのマニュアルを見ただけではチンプンカンプンだと思います。もうちょっとユーザーフレンドリーなマニュアルにできないものかとか小姑のような苦言が出てしまいますが、備忘録を兼ねてまとめておきます。

 

※OSCセクション

reface CS は2オシレータのアナログモデリングシンセですが、ユーザが波形を選択できるのはOSC1のみです。このOSC1で選択した波形によってOSC2とLFOの役割が自動的に変わり、その役割をTEXTURE/MODとLFOで設定するというのが基本的な流れになります。

  • ノコギリ波(マニュアルだと「マルチソー」)
    TEXTURE:サブオシレータ音量*1
    MOD:SUPER SAW効果量(マニュアル表記を意訳)*2
    LFO:OSC1のピッチ変調
  • パルス(矩形波
    TEXTURE:OSC2音程(半音刻みで1オクターブ上まで)
    MOD:パルス幅(Pulse Width)
    LFO:パルス幅変調=PWM(Pulse Width Moduration)*3
  • オシレータシンク
    TEXTURE:OSC2音程
    MOD:OSC2→OCS1変調量
    LFO:OSC2のピッチ変調量(お約束)
  • リングモジュレーション
    TEXTURE:OSC1ピッチ
    MOD:OSC2ピッチ
    LFO:OSC2ピッチ変調量
    ドレミは演奏できない程度に音程感のないベルが真骨頂。
  • フリケンシーモジュレーション(略してFM)
    TEXTURE:OSC2音程*4
    MOD:OSC2→OCS1変調量*5

LFOのASSIGN
LFOのASSIGN(変調先)はOSC/ピッチ/フィルター/アンプが設定できます。LFOの波形は固定でサイン波っぽいです。ちなみにDEPTH、SPEEDとも相当にエグい領域に踏み込んでいます*6

  • OSC(要注意)
    上記にまとめたように、OSCの波形によってLFOのデスティネーション(役割)が変化するので注意が必要です。LFOのASSIGNにOSCを選択するという操作は、ピッチを揺らすビブラートの設定をするのではなく、Prophet-5でいうところのポリモジュレーションをONすることになります*7。パラメータの接続が不可視な状態で勝手にポリモジュレーションされるので、最初のうちは混乱しました*8。ここに「LFOをビブラートだけには使わせないぜ!」という意識が見えます。
  • ピッチ
    普通のビブラートです。LFOをOSCやフィルターの変調に使っている場合は、ビブラートはエフェクター(コーラス・フランジャー)でなんとか代用可能です。
  • フィルター/アンプ
    こいつらは普通ですが、超高速LFOなのでリングモジュレーションみたいなこともできます。

※応用篇

  • ホワイトノイズ
    【OSC】FM/TEXTURE:最大/MOD:最大
    LFO】ASSIGN:OSC/DEPTH:最大/SPEED:最大
    LFOでOSCを変調しないといちおうドレミで演奏可能な音になります。reface CSのFMはDXとはニュアンスが違っていて、nord(初代)っぽいピーキーサウンドが出せます。この感じから、ちょっと古いバーチャルアナログという印象を抱く人もいるらしい。
  • 音色を濁らせる
    LFO】ASSIGN:FILTER/DEPTH:小~/SPEED:大~最大
    フィルターを高速でモジュレーションすると倍音に影響します。本当はOSC2やノイズでモジュレーションしたいところだけど代用としては十分かと思います。素の状態だとザラッとしたニュアンスになりますので、コーラスやフランジャーでなじませるとよいです*9

サウンドの印象など

  • 重厚長大サウンド
    太くて厚い音色と高い音圧が特徴のシンセで、ソロに使うには最高だと思います。ただし主張が激しいのでバッキング用途で使う場合は意識的に薄い音作りを志向する必要があります。
  • アタックが命
    ADSRのアタックが速く、しかも緻密に調整できるようになっています。音が出始めるニュアンスはとても重要なので、ここをしっかり意識した設計は高く評価できます。

*1:かなり太い音になる

*2:とってもゴージャス

*3:かなり強引にシミュレートしている。倍音成分そのものが大きく変わっておもしろい。

*4:マニュアルは誤り。あんまり問題ないけど。

*5:マニュアルは誤り。あんまり問題ないけど。

*6:とりあえず全上げしてみましょう。

*7:なのでデスティネーションというProphetの用語を使っています

*8:ちゃんとマニュアルを読みましょう。

*9:フランジャーとの相性がよく、ショワショワした音が作れる。

今日のフォトムジーク(reface CS版)進捗の巻2

ひととおり録音終了したので備忘録。
reface CS や Neutoron(プラグインエフェクター)の音が良すぎてサウンドがパワフル&ゴージャスになりすぎてしまうので、dbx 160A を適宜使いつつ録音を進めた。薄めのサウンドって案外難しい。

エフェクトはなるべく reface のものを使うコンセプトなので、かけ録りになっている音が多く、ちょっとディレイが効きすぎの音色があるのでこれはあとで修正。ディレイ音の高域を下げたいけど、そこまで調整できない。

全体的な雰囲気はかなり似せられていて、16分音符のシーケンスフレーズの音色もうまくできたし*1、左右に飛ばすディレイは Performer のプラグインで再現できたし、概ね想定どおり。

コードバッキングの音色は何度やり直してもだめで、どうしても決まらないので明日以降に持ち越し。この音色はSC-88でやったときも、INTEGRA-7でやったときも苦労している。矩形波+オクターブ上の三角波だと思うが、このコンビネーションが reface では作れない。ただ、ここで苦労するのも想定どおり。

refaceの音色作成の予行演習をしたとはいえ、とりあえず全音色の準備&レコーディングを1日でできたのはなかなかすごいのでは?(自画自賛

INTEGRA-7のSNシンセ音源は立ち上がりが遅いし、レイテンシーもあって苦労させられたけど、reface CS は立ち上がりが速すぎるので意識的にアタックを遅くするようにしないとだめだった。アタックのニュアンスを緻密に調整できるのはいい。驚くほどパラメータが少ないけど、痒いところに手が届くシンセって言えるかも。

*1:INTEGRA-7では失敗している

今日のフォトムジーク(reface CS版)進捗の巻

使い慣れているものがいいと思ったので Digital Performer でレコーディングを開始しました*1。いままでほとんどデジタル to デジタルの録音で、本格的にアナログオーディオから録音するのは20年ぶりくらいだったので。

とりあえず今日はドラムとベースだけ録音しました。ハイハットの余韻を切るためにiZotope Neutron2 のゲートを使用します。パラメタが細かく調節できる上に、効果を視覚的に捉えられるので設定作業がスムーズにできます。ドラムセットのゲートはDP付属のゲートを使いました。

シンセはモノラルで録ってエフェクトで広げるのが基本コンセプトなので、ベースはアナログ系のコーラスを薄くかけてステレオにしました。

細かなエフェクトはトラックが揃ってからまた見直すので、とりあえずザクザク録っていこうと思います。なお演奏データは以前INTEGRA-7でやったものを流用しています。同じ数の音が同じように鳴らないと比較にならないからねw

reface CS はSNが良いので、多重録音でノイズがシャーシャー聞こえるようなことにははならなさそうですが、念のためノイズゲートを挿そうと思ってます。

*1:Cubase AI を使おうとは思わなかった。

ヤマハ MONTAGE を16パートマルチティンバー音源として使ってみたい(希望)の巻

MONTAGEはマルチティンバーの使い勝手が悪いと言われておりますが、カタログにはしっかり16マルチティンバーと記載されていて、エフェクトも16系統独立で使えるようになっているので、これを生かさない手はないと思っています。

MONTAGEは「パフォーマンス」という概念が音色の単位になってますけど、構成がとてもゴージャス&ユニークです。このパフォーマンスがそのままマルチティンバーになります(と思います)。

1パフォーマンス=16パートから成り立つ。*1
1パートあたりAWM*2エレメント8つ または FMX*3オペレータ8つを用いる。

という割当になっています(たぶん)。なおプリセットでは最大8パートまでしか使われていません。AWMのパートあたりのエレメント数が多い理由は、ベロシティ違いの波形をズラッと並べることが目的らしいです。*4

とりあえずフォトムジークは演奏させてみようと思っていますけど、AWMを使っちゃうと面白くないのでFMXだけで音を用意しようと考えています。以前SY77を所有していたときにAFM音源をあまり使いこなせなかったので*5リベンジしたいです。もうちょっとマニュアルを読まないと機能を把握できないので、浅倉大介氏を見習って後ろからマニュアルを読もうと思いますw

 

※メモ

・基本方針
FMで倍音の多い波形を作ってフィルターで加工する。FMでは倍音変化は作らないようにする(パラメータが多くて大変だから)。*6

・PWMっぽいサウンドの作り方
キャリアを固定周波数にして、その上に2OP重ねて周波数比2:1で矩形波を作って流す。このタワーを2つ用意。余った2OPは周波数比1:1。

・ホワイトノイズの作り方
要検討。FMXモジュレータのみにLFOが使える。

※余談
8段階のベロシティ違いの波形を並べるのはダサい。サンプリング波形からの推測演算(たぶん)で127段階の波形を作り出すRolandのSuper Natural音源を見習ってほしい。FM、VL、AN、いずれにしてもヤマハの音源開発は原理主義すぎるんだよね。いいところ取りしてください。

*1:このときパート1から1ch, 2ch, ...と自動的にMIDI受信チャンネルが割り振られる。すなわちマルチティンバー。また全部のパートを同じ受信チャンネルに設定することも可能。ただし設定できるパターンはこの2つだけで、各パートを任意のチャンネルには設定できない。(はず)

*2:PCM音源

*3:FM音源

*4:だんだん書き方に自信がなくなっていく

*5:パラメータがやたらと多く操作性が悪すぎた。

*6:こういう割り切りが大事

dbx 160A 購入の巻

reface CS 用にヤフオクdbx 160A(コンプレッサー&リミッター)を購入。状態は良かったです。

フィルターエンベロープを効かせたシンセベースなどはオケに混ざるとアタックしか聞こえなくて低域が物足りなくなりがちですが、そういうときにコンプを使って減衰部を持ち上げると、バランスのいいサウンドになります。

以前は旧モデルの160XTを使っていましたが、あまりシンセには使っていなくてボーカル用途が主体でした。ほとんど音源が残ってないんですけど、下の動画のインスト曲のベースと、最後に入っているジングルのコーラス録りで使ってます。

www.youtube.com

コーラスはcamp, 95(ninty five)と言ってるだけですが、" ナインティ・ファイヴ " というニュアンスにこだわっていて、この最初のンを拾うためにかなり強くコンプをかけてます。

ということで、さっそく reface CS で使ってみたんですけど、CSの音の立ち上がりが速すぎて、コンプレッションの動作がついてこれないことが判明*1。すこし立ち上がりを遅くした音を入れてあげるといいかんじです。あと昔は気にならなかったんだけどやはり微妙に音が痩せるので、それを織り込み済みで使ったほうがいいなと思いました。そして1:∞のコンプは相変わらず気持ちいいですね。

*1:このコンプはアタックタイムを調節できません。

橋本治が好きだったの巻

どこで知ったのか忘れちゃったけど、1980年代に桃尻娘シリーズを読んで、その中のBLエピソード(木川田君x磯村君)に非常に感動して、橋本治の大ファンになってました。

社会人になってからは彼の講演会とかも聞きに行ったりしたんですけど、延々編み物の話をしたり*1、LG(BT)界隈の際どいエピソードやらなにやらを面白おかしく聞かせれくれたり、とにかく頭の回転が速くて、人を楽しませることが好きな人だなという印象でした。

90年代ころのサブカル界隈(今のサブカルとは全く違います)の人はたいがい橋本治を読んでいた印象があります。私も今日ツイッターを検索して知ったのですが、クチの悪いオネエ様がたは「最近の若い子は橋本治を読まないからバカなのよ」などと言っているようで、橋本治は20世紀末~21世紀初頭において一部の人たちの思想的支柱になっていたのではないか?とか、やや大げさなことを考えてしまいました。

ということで、桃尻娘のBLエピソードの本を紹介。 

当時はまだBLなんて言葉がなかったけど、この本と、これに続く「桃尻娘無花果少年」は普通の男の子同士の友情~恋愛模様を自然体で描いた傑作だと思います。最初はゲイの木川田くんが一方的にノンケ友人の磯村くんを好きになるという、今の時代ならよくあるBLですが、木川田くんが学業に専念し始めて磯村くんへの想いが昇華してきたあたりで、磯村くんが木川田くんのことが好きだと自覚してとんでもない行動に出る、という流れになっています。

アパートのベッドで一緒に眠る二人、冷蔵庫には木川田くんが買ってきたプリンが2つポツンと並んでいる・・・という描写に感銘を受けたのでした。寂しさと愛おしさの混ざった感情の表現としては、これ以上ない描写だと思います。それでいろいろあってめでたく(?)二人はカップルになるんですけど、決してべたべたした付き合いではなくて*2、でもふとしたきっかけで磯村くんが「僕はやっぱり木川田のことが好きなんだなあ」とか零すのが本当に尊いと思いました。愛ですねえ。

なお作者によると木川田くんには自分が投影されているという話です。じゃあ磯村くんは誰なのでしょうね?残念ながら、永遠の謎になってしまいました。

最後に「紅い夕日の無花果少年達(いちじくボーイズ)」より、いまでも忘れない一節を引用しつつ、ご冥福をお祈りしたいと思います。

僕にだって素敵な未来があるって思えてきた。だから「またね」

 またね。 

*1:橋本氏は編み物名人

*2:ただの友人だった頃の延長線上ということがよく伝わってくる