音楽図鑑 - 近況報告

はてなダイアリーから移行しました。

冬コミケのおしながきの巻

いよいよ今週末に迫ったコミケ97の頒布物一覧をpixivとツイッターにアップしました。スペースは土曜日の南2ホール オ-20a「コスモピアニスト」です。
pixivのほうがちょっとだけ見本の量が多いです。新刊は2冊です。ここのところ、コンスタントにコミケで新刊2冊出しているのでわれながら偉いなと思ってます。

新刊1. Symphony of Healthy Wings:交響曲宇宙戦艦ヤマト 解説本 A5 p68
当サークルのハネケン羽田健太郎氏の愛称)本の第二弾です。まるごと一冊すべて交響曲ヤマトの解説で、存分にこの名曲を語りました。この曲についてはブログではあまり語っていませんが、ハネケンの最高傑作といってよいと思います。

新刊2. 炎ノキセキ:プロメア サントラ解説本 A5 p48
今年めっちゃハマった映画です。ミュージカルみたいな音楽がとてもおもしろかったので解説してみました。タイトルは「Alborada del bombero(消防士の朝の歌)」にしようと思っていましたが、ラヴェルが助走をつけて殴ってきそうなのでやめましたw

おしながきには書いてませんが、ハネケン本第一弾やユーリ!!! on ICEの本も若干持っていく予定です。よろしくおねがいします。

#宇宙戦艦ヤマト コミックマーケット97おしながき - コスモピアニストのイラスト - pixiv

【音楽用語シリーズ】ソナタ、ソナチネの巻

ソナチネは小さいソナタですが、作曲家がソナタと名付けたらソナタですし、ソナチネと付けたらソナチネなのです。形式なんかどうでもいいんですよ!(投げやり)

じゃあソナタってどういう意味なのよ?という話になります。
本来は器楽曲という意味になります(対義語は歌曲)。とりわけ、舞曲を含まない複数楽章形式の器楽曲ソナタというようになりました。つまり娯楽目的でなく純音楽的な器楽曲にソナタという名称を与えたのです。この傾向はバロック時代のかなり早い時期に出来上がっていて、古典派、ロマン派の時代を経て現代まで続いています。いま我々が聞いているソナタがほとんど標題のない絶対音楽で、しかもたいがい難しく真面目な音楽になっているのはそういう事情があります。

なので古典派のハイドンモーツァルトベートーヴェンソナタはまさにそういう音楽ですし、サロン用にノクターンやワルツなど比較的短くてエンタメ色の濃いピアノ曲を書いていたショパンも、シリアスな音楽としてピアノソナタチェロソナタを書いています。標題音楽ばかり作っていたリストですら、ピアノソナタは極めて純音楽的なのでした。

そしてソナチネは、庶民のピアノレッスンが一般的になりはじめた1700年代後半~1800年代初頭に特に数多く作られました。ピアノソナタの魅力をピアノの初心者でも楽しめるように、あるいはソナタが弾けるようになるための練習曲として作曲された「小さなソナタ」。それがソナチネなのです。

ただここで忘れてはいけないのは、ソナタ形式は中期ロマン派の時代にこじつけられた理論だということです。だからモーツァルトベートーヴェンも、そんな形式は知らないでソナタを作っています。世の中の解説書は「一般的に、ソナタ形式の楽章を含む楽曲をソナタといいます」と書かれていますが、ソナタ形式の楽章を含まない曲も少なくないことに対する説明ができていません。ともかく、ソナタの本来の意味は「真面目でシリアスな器楽曲」であり、ソナチネは「ちょっと堅苦しいけど短くてやさしい器楽曲」という意味なのでした。

あと「ソナタには舞曲を含まない」と書きましたが、実際には古典派以降のソナタソナチネにはロンドやメヌエットなど舞曲の楽章が含まれます。
この原因のひとつとして、舞曲を主体に構成されたバロック時代の「組曲」が廃れてしまった一方でソナタの人気が出たので、こちらのほうの構成要素として舞曲が復活したのではないかと考えられます。もうひとつの要因としては、真面目な楽章ばかりでは飽きるし、ぶっちゃけ眠くなるので、舞曲のリズムを使った軽い内容でわかりやすく楽章をひとつ置くことで息抜きにしたり、眠気覚ましのスパイスにしたと考えられます。

交響曲でこういう試みを始めたのはもちろんハイドンです。ハイドンらしい配慮ですね。ハイドンからの影響のあるモーツァルトも舞曲楽章を含んだ構成を真似てエレガントなソナタをたくさん書きましたし、ベートーヴェンは舞曲より速いスケルツォを導入するのでした。

米倉利紀 besties (ライブDVD)の巻

活動25周年ベストアルバムのツアーということで、メドレー含め全48曲ノンストップ145分という恐るべき分量。見ても見ても終わりません。

f:id:Harnoncourt:20191201212020p:plain

ジャケ写でもわかりますけど、痩せた?痩せたよね?
と思って見始めました。まあ実際は痩せたのではなくものすごく絞ったのですが。

全体的に回顧的コンセプトのライブで、テンポを含めアレンジやサウンドはオリジナルアルバムの音に寄せてありました。自分が彼の最高傑作だと思っているvintageもセットリストに入っていますが、オリジナルなのでテンポが速め。

まあそんなわけで相変わらずめちゃくちゃうまい歌とキレッキレのダンスを堪能したわけですが、途中で脱ぎました。しかも上半身全裸になりますが、ガチムチ系からゴリマッチョになっとるやんけ!このために絞ったのか~ナルシストめ~~と思いました。でもカッコいいので仕方ない。

Madonnaのエロティカをオマージュした(たぶん)higher and higherは物議を巻き起こしたエロエロパフォーマンスの再現で、まず女性ダンサーとキス、次に男性ダンサーともキス、脱いで両者と絡む、ラストは3人とも脱いで(自粛)。そして慌ててシャツを着ながら次の曲に入るのが良かったです(Tシャツをかぶったまま歌い出すお茶目演出付き)

キーボーディストがずっとMOTIF XF8のピアノを弾いていて、中域が厚めのアコースティックよりのサウンドなのが印象的でした。このピアノがサウンドを支配します。そこで気づいたのですが、エレキギターが中心でないサウンドだから好きなんだわ、と改めて実感したのでした。

劇場版シンカリオン公開直前!テレビシリーズおさらい応援上映!の巻

新宿バルト9で行われた応援上映に行ってきました。すごく盛り上がったし、小さなお友達も大きなお友達も一緒にガンガンズダンダンできてよかったですw

最後に劇場版予告が流れましたが、見逃していたエヴァコラボ(正確にはシン・エヴァンゲリオンとのコラボ)予告も見れたので嬉しかったです。映画館でもサービス、サービスぅ!

公開まであと1ヶ月とちょっとということで、主題歌を担当するBOYS AND MENのメンバーが出演する番宣も増えてきたし、いろいろ楽しみです。

プラレールシンカリオンALFA-Xも発売になりましたが、造形がいまいちなので購入は見送りました。さすがにロングノーズは無理がありますね。

 


【12月27日公開】 <劇場版シンカリオン×エヴァンゲリオン> コラボ特報

機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ ピアノコンサートの巻

なぜいまさら鉄血の劇伴コンサート。しかもピアノソロ。果たして客は入るのか?と不安でしたがほぼ満席になりました。よかったです。やはり劇伴好きは男性が多いようで、自分が体験した歴代の鉄血イベントの中では最も男性客が多かったです。

生意気を承知で言わせてもらうと、自分的にはアレンジはイマイチ。いいなと思う瞬間はあるものの長続きしない感じでした。でもバラード系の劇伴は概ね良かったです。ただ「オルフェンズの涙」のピアノアレンジは私の勝ち(笑)。


機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズED オルフェンズの涙を弾いてみた

このアレンジは2015年12月中に大枠はできていたのですが、紅白歌合戦でのMISIAさんのパフォーマンスがすごかったので、それに合わせて終盤を付け加えました。勝因はこの終盤の展開です。日付を見ると2015年の紅白の4日後にこの動画をUPしてますね。

同時期(2015年12月)の映像でその終盤がわかります。


MISIA - オルフェンズの涙(CN 2015 LIVE at 高野山)

「戦争ソナタ」という呼称に対する違和感の巻

プロコフィエフピアノソナタ6・7・8番は日本では戦争ソナタなどと呼ばれていますが、これに対して苦言を呈したいです。そもそも音楽家や芸術家といったクリエイターの皆さんや広告界隈の人は、商業的に売れるためにわかりやすいテーマを設定したいということを差し置いても、扇情的な意図をもって戦争という言葉を使いすぎだと思います。もちろんプロコフィエフ本人はそんな標題はつけていません。

プロコフィエフ絶対音楽標題音楽の両方を作っていますが、それらには明確な差異があります。はっきりと区別して作っているということです。だから、絶対音楽であるピアノソナタに標題を付けてしまうのは良くないのです。

プロコフィエフが戦争のためモスクワから疎開するのは1941年8月です。そしてこの直後から急に戦争をテーマにした曲を作り出すのです。しかし6番のピアノソナタは1940年に完成していますので、戦争とは別だと考えたほうがいいと思います。ちなみに8番は第二次世界大戦終盤の1944年に完成していますが、穏やかで叙情的な要素が多くて、これも世の中の騒動とは一線を画する感じです。

などということをグダグダ考えていたら、PTNAのプロコフィエフピアノソナタ解説が思いっきりアップデートされていました。ベートーヴェンソナタの影響など、私が書きたかったことが全部書かれています。嬉しいです&悔しいです(涙)。そうなんです、プロコフィエフがやりたかったのは戦争の表現じゃなくてこっちだと思うんですよ。

https://enc.piano.or.jp/musics/234
https://enc.piano.or.jp/musics/235
https://enc.piano.or.jp/musics/236

この素晴らしい解説を書いたのが山本明尚(あきひさ)さんという大学院生(!)です。「ロシアの作曲家はなんでこういう曲を書いたのかな?」という観点から作曲家や楽曲の調査や分析をやっておられるということで、自分と似たところがあると思ったのでフォローしたいと思います。

http://www.akixisa.com/

 

【音楽用語シリーズ】ポコ poco 、ウン・コポ un poco 、ポコ・ア・ポコ poco a poco の違いの巻

英訳すれば一発で解決する問題だったりするので、みなさん覚えておきましょう。
poco → little(ほとんど~でない)
un poco → a little(少しだけ~である)
poco a poco → little by little(少しずつやれ)

つまり、poco は little と同じく否定的な単語ということを理解する必要があります。

よく使われる用語の poco piu animato は、急に速くするな・いきなり盛大に弾くな(このあとで盛り上がるからそこまでガマンしろ)という一時的な抑制を促す意味で使われることが多いと思います。カッコ内を読み取るのが大事です。もちろん、楽譜をキチンとアナリーゼすればカッコ内を補完するのは容易です。

非常に有名で、なおかつしばしば指示を守られない poco piu animato がショパンの「別れの曲」の中間部の冒頭です。この曲の中間部は徐々に盛り上がって最終的に bravura(華麗に弾きなさい)という指示が入るほど華やかな技巧的パートが控えているので、最初から盛り上げちゃダメって釘を指しているんです。でもいきなりガチャガチャ弾く人が多いですよね*1

*1:私のことではありません。決して!