ミハイル・プレトニョフ ピアノリサイタル

ベートーヴェンソナタ2曲は続けて演奏。特に7番が素晴らしかった。良くも悪くもベートーヴェンのキャラクターはほぼ完全に消えうせてプレトニョフの音楽になっていました。ショパンもいろいろやってくれたのですが、ベートーヴェンよりは曲を持て余していた印象。なんとなく「無理やり弾かされている感」が漂ってました。アンコールではリストが出色。ショパンのバラードは明らかにホロヴィッツを意識して弾いていたのでニヤニヤしっぱなしでしたw
タッチとペダル操作によって自由自在に音色を変化させながら紡ぎだす魔法のようなピアニズムで、要するにホロヴィッツのような技術を持った人です。予想はしていたのですが、ここまでレベルの高いピアニズムは初めて聴いたので、自分の中で現役ピアニストNo.1はプレトニョフに決定。音色と音量(というか音像の大きさ)を完全に別個のものとしてコントロールしてるのがすごいと思います。1フレーズのなかでウナコルダを踏んだり離したりするのですが、ウナコルダで音色を丸くしながらクレシェンドとか、その逆にウナコルダを離して音色を明るくしながらデクレシェンドなんて芸当を平気でやってくれるし、高速アルペジョのトップの音だけをチョッチョッという感じにウナコルダを離して音色を変えるとか、まあ芸が細かい細かい。ピアノの響き、特に音の消え方のコントロールもすさまじいレベルで、この凄さは生で聴かないとわからないと思います。