夜の女王様も大変よね、の巻

モスクワ室内歌劇場の「魔笛」 を見てきました@所沢ミューズのマーキーホール。700人程度収容の、やや小規模ですが円形の立派なオペラ劇場です。セットは、舞台中央奥に円形の穴が開いておりそこへ道が通じていて、天上とそれに続く道(?)を象徴していると思われました。また舞台右手にはやはり円形の黒い回転扉があり、これは闇とか夜の象徴だと思います。なので、ザラストラは前者から、夜の女王様は後者から出入りします。どうでもいいけど、「夜の女王」という呼び方は良くないと思います。やはり「女王様」が正しいのではないかしら。
さて、オーケストラは小編成で、序曲の3和音が「へろれろ〜〜〜、よろりら〜〜〜、はらひれ〜〜〜」みたいな脱力系で始まったので一体どうなることかと心配していたのですが、弦と木管を中心に美しいアンサンブルを聴かせてくれました。フレーズの終わりで音価が間延びする箇所が多く、アーティキュレーション不明瞭で少々だらけた印象だったのが惜しかったと思います。
歌手陣は主人公パミーノ以外はみんな上手。小劇場で無理して大声を出さなくてよいので細かなニュアンスに気を遣っていたと思います(パミーノ以外は)。ってかパミーノ君はアラーニャのような甘い声質なのに、どうも無理して唄っている感が強くて終止苦しそうに聞えてしまった。バス、バリトン勢が総じてパワフルで上手かっただけに、差が出てしまった感じです。女性陣は夜の女王様の手下トリオが秀逸で、憎たらしいくらい演技も唄も上手かったです。ザラストラの小姓トリオも可憐。王女様はもっと可憐で、表現のニュアンスも豊かでよかったです。女王様は非常に若い人が演じていたので、「その若さで母親と言われてもねえ」みたいな感じがありました。観客の質が高くて、女王様のアリアになると場内静まり返って空気が張り詰めるのでwさぞかし唄いにくかっただろうと思います。まあね、このオペラ最大の見せ場が夜の女王様のアリアだから仕方ないんだけど、大変ですよね。