新国立劇場オペラ「魔笛」の巻

魔笛は音楽はともかく、ストーリーがわかりにくいのが難点のオペラです。特にフリーメーソンの儀式が中心となる第二幕はほとんど意味不明だったりするのですが、せり上がり&下がり舞台を生かして視覚的な補完の多い演出でわかりやすくなっていました。太陽集団ザラストロは上段にいるとか、登場人物が地の底に飲み込まれるシーンでは「あ〜れ〜」みたいな感じで奈落に吸い込まれるとかw。全体的に暗めのトーンの舞台美術でしたが、夜の女王様の登場シーンの星(電飾)などは幻想的で色彩がとてもきれいでした。女王様の最初のアリアが抑制されたトーンでイマイチという人もいるようですが、私としてはあのくらいリリカルに表現してくれた方が情感がよく伝わってきて好きです。二番目のアリア(例の超絶技巧コロラトゥーラ)は迫力満点でさすがでした。
演奏は、オケと歌が合わない箇所が結構あったのですが(特に第一幕)、歌手の人は平気で歌っていたのでこんなものかなと。合わなくても焦ってる感じがしないのです。第二幕はオケの演奏も歌手も乗っていて、非常に充実していたと思います。白眉はパパゲーノ。歌も上手いけど演技も上手い。あたり役ですね。自殺しようとして「止めてくれないと本当に死んじゃうよ?」「ほんとだよ?」というところでは「No!」とか観客から声がかかってました(ドイツ語だからNeinかも)。とにかく今回はパパゲーノで感動してしまいました。