エヴァンゲリオン解説その4:「エヴァってなんなの?!」byミサトの巻

エヴァは「毒を制すには毒を」という理屈で、使徒殲滅を目的として使徒(アダムもしくはリリス)をコピーした人造人間(汎用人型決戦兵器)です。エヴァンゲリオンにおいては、生命体は肉体・コア・魂の3セットが共存して成立することになっているのでエヴァもこの3セットが必要になります。このとき、S2機関は必ずしも必要ではありません。S2機関を搭載することは最初から計画されていたのですが、開発が非常に難航したため「S2機関を内蔵すると暴走したときに困るし〜」みたいな理屈でだらだらと延期していたと思われます。

エヴァ三要素の実装について
  • 肉体・コア・魂の三要素が実装されて初めてエヴァが完成します。どうやってこれらを実装していったのか、劇中でかなり詳しく説明されます。これは状況説明を省略しがちなエヴァンゲリオンにおいては異例のことで、視聴者に対してよく理解して欲しかったものと思われます。
  • 肉体・コア・魂はDNA・自我・心(記憶)と読みかえることもできます。エヴァは人造人間なので肉体だけの存在であり、自発的なコアや魂を持ちません。したがって、これらは別に用意する必要があります。*1
  • まず肉体ですが、これは「コピー」という言葉を使っていることからもわかるように、クローンとは違っています。オリジナルのアダムもしくはリリスの細胞を増殖させて利用していると思われます。クローンは遺伝子を取り出して別の細胞へ移植し、それを増殖分化させる技術ですが、それはエヴァの用語で言うと融合になってしまいます。使徒の遺伝子の融合は一つ間違うとサードインパクトを起こしますから、エヴァンゲリオンの世界においては原則として禁忌事項になっています。
  • 次にコアですが、基本的にはパイロットの自我(思考パターンなどが中心と思われる)などをデータ化したものを移植しています。「MAGIが完成してようやくエヴァ開発が軌道に乗った」という台詞のとおり、MAGIに蓄積したパイロットの情報をもとにコアや神経接続情報を書き換えているわけです。コアがパイロットと直接的に神経接続された上に、思考パターンまで搭載しているために、特に複雑な操作をしなくてもパイロットが考えたり叫んだりするだけでエヴァは動いてくれます。めちゃくちゃ便利な仕組みです。
  • 最後に魂ですが、これはご存知のようにヒトの魂が使われています。あるときは生きたまま取り込まれますし、そうでなければサルベージした魂を封入しています。魂は操縦者とコアを感情的に接続する役割を持っています。*2
暴走

劇中でエヴァはたびたび暴走と呼ばれる状態に陥ります。暴走とはエヴァがヒト(パイロット)では制御できなくなった状態」を意味します。パイロットの意識が反映されないので、エヴァに封印された魂の想いがそのまま反映した行動を取るようになります。これは結構重要なので、覚えておいてください。

零・壱・弐号機の構成
零号機の魂について

零号機の魂の正体は、劇中では明示的に表現されません。しかし、起動実験中の暴走の様子と、そのときのリツコの台詞から以下の情報が入手でき、そこから魂の正体を類推することが可能です。

  • 実機を用いた起動実験で綾波の精神状態が「かつてないほど乱れ」暴走した。
  • エヴァ零号機はそのとき、実験の様子を見ていたゲンドウをヴォコヴォコに殴ろうとした(笑)。
  • パイロット互換性試験のとき、シンジを乗せたときも、暴走した。
  • そのときにも、実験の様子を見ていた綾波ヴォコヴォコに殴ろうとした
  • そんな様子を見てリツコがぽつりと。「いいえ。エヴァが本当に殴りたかったのは、私ね。」

直接的に神経接続しようとした綾波を拒絶し、ゲンドウやリツコを殴りたいほど憎んでいる人は誰か?それはもう、赤木ナオコ以外には考えられません。よって、零号機の魂はリツコの母である赤木ナオコであると結論付けました。ただ赤木ナオコは自殺していますので、MAGIを利用して彼女の魂をサルベージしたものを封じ込めていると思われます。零号機の魂が赤木ナオコ*3だということを知っているのはゲンドウとリツコだけと思われ、他の人には伝えられていないようです。ただ、初号機・弐号機と違って生きた人間から直接取り込んだわけではないことは予想がついているので、NERVメンバーの間には「零号機はちょっと特殊なのよね〜」みたいな雰囲気ができています。

零号機の特殊性

ダミーシステムを使わない限り、エヴァは本体に封印された魂とパイロットが母子関係にあるのが基本となります。零号機はそうでないということで、特殊なエヴァと言えます。さて、ここでは最初に綾波を乗せたときにあんなに拒絶した零号機が、その後おとなしく綾波を受け入れたことになった理由を考察してみます。

  • アスカに対して「心を開かなければエヴァは動かせない」と語ったように、綾波エヴァ操縦の本質を理解しています。ですから零号機に拒絶されたあとで、綾波はなんとかして零号機の魂とコミニュケーションを取ろうと努力したと思われます(それが自発的なものか、リツコのアドバイスかはわからない。おそらく後者。)
  • 零号機の魂(ナオコ)は衝動的にレイを殺したことを後悔していたはずですから、綾波からのコンタクトを受けて反省モードに突入します。その後は綾波に対しては従順になります。
  • しかしパイロット互換試験でシンジ君が割り込んできたので、「ちょっとリツコ!今度は碇指令の息子なの?アンタいい加減にしなさいよね!*4」と言わんばかりに暴走してしまいました。この気持ちは非常に理解できます(笑)。ナオコはシンジ君に対しては負い目がないので、以後も拒絶状態のままとなり、互換試験は失敗に終わります。

*1:自発的なコアや魂を持っているのが使徒です。エヴァは「ヒトが制御できる使徒」がコンセプトなので、ヒトが用意します。

*2:物理的にはA10神経で直接つながっています。

*3:どうでもいいことですが、ナオコのCVが土井美加というのが古参アニヲタの心をくすぐります。土井美加といえばマクロスの早瀬未沙。彼女も初対面の一条輝から「誰です?このオバサン」などと失礼なことを言われてブチ切れてました(笑)。

*4:土井美加の声でどうぞ。