アンスネス&サラ・チャンのドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲

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年末に向けて未聴CDの消化を強化しております(笑)。そんな中で期待していたこの1枚がやっぱりよかったので報告。ピアノ五重奏曲というのはロベルト・シューマンから始まったもので、ロマン派だと他にブラームスドボルザークが有名です。シューマンピアノ五重奏曲はちょっと文句のつけようがない名曲で、彼の室内楽の中では最も成功した曲と言えると思います。ブラームスピアノ五重奏曲は若書きで、パトスとわかりやすさのある曲ですが作品番号100以降の傑作室内楽群と比較するとどうしても深みや味わい深さなどは落ちると思います。そしてドヴォルザークのこの曲。シューマンの曲を下敷きにしていると思いますが、こんなに美味しい旋律をつぎ込んでしまっていいの?と思うほど甘く切ないメロディに満ちた曲です。書法もブラームスほど渋くなく(密集和音とかあまり使わない)、どことなくカラリと抜けた雰囲気を持っています。もちろんピアノパートも充実していて、シューマンともども私の愛聴曲になっています。毎度書いておりますが、ピアノレスナー&ピアノ音楽愛好家の皆様はピアノソロとピアノ協奏曲くらいしか聴かない方が多く、それはあまりにも問題があります。まずはこういったピアノの活躍する室内楽から幅を広げていろいろなジャンルを聴くとよいのではないかと思います。室内楽やオペラや歌曲が好きになると、ピアノ演奏の幅も広がります。*1
今回取り上げたCDはサラ・チャンがメインで、同じくドヴォルザークバイオリン協奏曲も収録されています。ピアノ五重奏曲アンスネスはじめ名手ぞろいなので悪いはずがないのですが、サラのどこまでも伸び伸びとした演奏がとても気持ちよいです。

*1:ピアノソロ曲のアンサンブルっぽい書法を見破って立体的な表現ができるようになったり、自然に旋律を歌うことができるようになったり。弦楽器や歌を知らない人がピアノを歌わせることはまず不可能です。