2006年総括の巻

特に印象に残った演奏会

まるで「音楽の友」の年末特集のようですが、今年の総括ということでまずは演奏会から。上記3つの演奏会のうち、バルトリアーノンクールに関しては昨年のうちから絶対に行かなくちゃいけないと決めていて、実際にチケットを取って行ったものです。こんな感じに演奏会に過大な期待を抱いてしまうと、肩透かしを食らったときの落胆の度合いも大きかったりするので、ワクワクテカテカしながら待つのはやめようといつも思っているのですが、なかなかそれができません。バルトリの輝く女王様オーラ、内田さんの自由自在なピアニズム、鬼気迫るアーノンクールの指揮ぶり、みなさん文句なく超一流の音楽家でした。アーノンクールはNHKホールで録画された演奏(ヴェスペレとモツレク)が今月30日朝7時半からのNHK音楽祭スペシャルで再放映されます。必見です。

CD、DVD

内田さんのCDとDVDです。どちらもその曲の理想的な演奏といってよいと思います。ベートーヴェンの3曲は至高のピアノ曲なので誰が弾いても感動するんですが、1つ1つの音に込められる情感の表現という点で内田さんにかなう人はなかなかいない感じ。*1モーツァルトの方は弾き振りですが、特に20番は現時点でこれ以上のデモーニッシュな演奏はないと思います。オケは古楽器志向で、ピアノともども攻めるところはとことん攻めまくる演奏です。ライヴ録画、しかも一発撮りだと思うのですが、全くミスタッチがないし、弾き振りなのに指揮もピアノも異様に精度が高いのが怖いです。*2
ソフト関係は総じて低調でした。今年になって音楽コンテンツ産業はいっそうの不況という感じで、コストのかかるオーケストラのスタジオ録音などは激減し、過去録音の再発ばかりが目立っていたように思います。DVDもNHKが過去の遺産をようやく販売しはじめましたが、DVD販売全体の斜陽ぶりを見ると時すでに遅しではないかと思います。ソフトウエアの流通形態は変わらざるを得ない時期に来ている感じがします。

*1:以前、生演奏で聴いたツィメルマンの31番はすごかったです。内田さんと両トップ。

*2:20番の第二楽章中間部、手の交差する箇所での跳躍はすごくスリリング。でもミスしません。