カシオーリのドビュッシーの巻

ジャンルカ・カシオーリというピアニストがいまして、最近個人的にかなり高く評価しております。昨年も超個性的なショパンスケルツォ*1などをリリースしていたのですが、今回はドビュッシーの作品集(しかも2枚組)です。
例によって本人のウンチクがたっぷりと入った解説書で、今回は自筆譜まで登場します。演奏は極上。これほどまでにイタリア人らしくないドビュッシーは初めて聴いたかもしれません。ショパンスケルツォ集で感じたトゲトゲしさは影を潜め、繊細なデリカシーと絶妙なニュアンス変化に彩られた万華鏡のようなピアニズムを満喫できます。ドビュッシーのプレリュード集のベスト録音はこれに決まりかも。ツィメルマンの完璧だけど四角四面な録音と比べると、あまりに柔軟で自由奔放なカシオーリの想像力とピアニズムに眩暈がしそうです。

*1:この曲集の個性的な演奏としてはプレトニョフとポゴレリッチが最右翼ですが、カシオーリはそれを上回るとんでもなさ。