浜野範子・森下恵子 ピアノ・ジョイント・リサイタル@ルーテル市ヶ谷の巻

プログラム
感想

この手の演奏会は怖いのです。2人が同じピアノで交互に弾くので、個性の違いがはっきり比較できてしまいます。しかも大抵の場合、個性以前に力量の差が表面化するので、いっそう怖いものになります。結論からいうと浜野さんと森下さんの差が目立ちました。浜野さんがしっかり自分の世界を表現しているのに対し、森下さんはピアノを手なずけるのに精一杯という感じで、ちょっと残念でした。やたらと中音域が厚ぼったい響きのスタインウエイ、しかも小ホールということで、ピアノの鳴りを十分に制御できていない感じでした。
で、まあ、ぶっちゃけ浜野さんってのは先日まで私のピアノの先生だった人です(笑)。テンペストは演奏解釈がドンピシャで感激。メフィスト・ワルツはもう少し切れが欲しいかなと思ったのですが(ピアノの響きが重厚なので)、終盤の跳躍大会とかすごいスピード感でスリリングでした。ダレやすい中間部は音色の使い方が立体的でよかったです。ともすると機械的に音符を並べるだけになりやすいオクターブやトレモロで上下の音色を変えて歌うので、音楽的にとても充実します。