新・エヴァンゲリオン解説:第1回 使徒について

「そのうち続きを書く」といっていたエヴァ解説です。とりあえず新劇場版のことは置いて、旧世紀版の内容に沿って書いていきます。(たぶん、新劇場版でも大枠は変わんないと思うので。)

使徒が1体ずつしか出てこない理由
  • 単体生命だから。以上。
  • ↑これだとすごく不親切なので詳しく解説すると、要はアダム由来の使徒はアダムの魂を引き継ぐ存在なのです。なので、同時に存在できるのは1体だけということになります。
  • 「引き継ぐ」というのが重要なポイントです。新しい使徒が登場するたびにちょっとずつ進化していくのは、以前の失敗を反省しているんです。例えばラミエルですが、直接戦闘で全然エヴァにかなわない→間合いを取ったけどやっぱりかなわない→一定範囲に近づくものは全部敵と見なし排除することに、という進化の結果として生まれています。で、まあいろいろやってとにかくエヴァにはかなわないと。最強の使徒を持ってしても、あっさり一撃で倒された上に捕食されちゃうわけで、ちょっと趣向を変えて、エヴァの中の人に興味を持ち始めるんです。
  • 最終的にはヒトと同じ形態−渚カヲル−へと行き着くことになりますが、カヲル君は漫画版で興味深い描かれ方をします。アルミサエル(二重螺旋の使徒)戦後に、性格がちょっと変わるんです。つまり、アダムの魂が渚カヲルの中に宿ったということなのです。
  • そしてTV版DVD24話の追加シーンにおけるゼーレモノリスとカヲルの会話につながります。「正統な継承者たる失われた白き月よりの使徒、その始祖たるアダム。そのサルベージされた魂は君の中にしか存在しない」この台詞です。
  • ここでちょっと疑問点が出るのは、アダムの魂って勝手に次の使徒の中に宿るのか、それとも誰かさんがサルベージして戻しているのか、という問題です。サルベージされたリリスの魂が綾波に宿っていることを考えると、アダムの魂はゼーレがサルベージしてるんじゃねえの?という推測ができます。少なくとも、渚カヲルにアダムの魂を宿したのがゼーレというのはまず確実でしょう。
「正統な継承者たる失われた白き月よりの使徒、その始祖たるアダム。」
  • この台詞を理解するのが非常に重要なので、詳しく解説します。
  • 失われた白き月:アダムがいた南極のジオフロントのことです。
  • 白き月よりの使徒:エヴァが戦ってきた使徒のこと。
  • 正統な継承者たる使徒:使徒こそが地球にとって正統な生命体であり、人間は地球にとって正統な生命体ではない、という考え方。*1
  • つまりゼーレは、アダムこそが正統な生命の始祖と見なしています。
渚カヲルの死後のゼーレの変貌
  • 漫画ではきちんと描かれています。「死海文書のとおり全ての使徒はいなくなった。だからもうアダムや使徒には頼らず、自分自身の手で補完を行うしかない。」という宣言ですね。この宣言から、初号機とエヴァシリーズを使ったサードインパクトに突っ走る経緯が読み取れます。
  • アニメ版では「もはやアダムに還ることは望まぬ」という言葉で表現されています。ここから「ゼーレ自身の手でサードインパクトを起こす」という意味を読み取るのは、なかなか難しいのではないかと思います。
  • 以上のような感じで、アニメ版でわかりにくいところは漫画版が補ってくれるので、理解しにくい台詞があったら漫画版を読んでみると思います。

*1:これがゼーレの基本思想。