新・エヴァンゲリオン解説:第2回 加持さんのやってたこと

ネルフ・ゼーレ・政府(国連)の三重スパイという設定の加持さん。ですが、実は視聴者に対してこの3者がそれぞれどのような立場にあるのかを説明してくれる解説者の役割というのが一番重要だと思います。狐(ネルフ)と狸(ゼーレ)の化かしあい、それに翻弄される政府、という図式ですね。

物語の中での加持さんの立場
  • スパイというのは仕事上の役割であって、実際問題としては、3者の間で情報収集して、最終的には勝ち馬に乗るのが加持さんの最大の目的です。
  • なぜ勝ち馬に乗る必要があるかというと、加持さんのトラウマとなった出来事*1を払拭するだけの達成感と満足感を得たかったからです。つまり、エヴァの登場人物に共通する喪失感の補完という要素です。他の登場人物は、喪失感を補完するために妙な方向に突っ走ってる人が多いのですが(笑)、加持さんは仕事の中で達成感を得ようとしているという点では真っ当な社会人と言えます。
加持さんの行動時系列
  • 大学時代にミサト、リツコと会う。ゲヒルン関係に就職することにしたのはリツコ経由の情報でしょう(リツコの母はゲヒルンの重要メンバーですから)。
  • わりと早期に、セカンドインパクトを起こしたのがゼーレだと気づき、日本側の中枢(ゲンドウ)と接触を持ったと思います。
  • アスカのお目付け役として帰国するタイミングを利用して、ゼーレ本部からアダムのサンプルを拝借。これ、かなり危険です。(加持さんが殺された第一の原因はコレ。)
  • ところが日本側(ネルフ)も怪しいことをいろいろやっていました。その際たるもののマルドゥック機関について調査し、これがぜ〜んぶネルフのダミー会社であることを突き止めます。
  • ゼーレだけじゃなくネルフもやばいよってことで、政府の方からいろいろ調査が入ります。例のネルフ本部停電も、実行犯は加持さんではありませんが、一枚噛んでいることは確実です。
  • そうこうしているうちに、ゲンドウさんたちがどんどん暴走します。エヴァ初号機は使徒を喰ってS2機関まで手に入れてしまいました。このあたりのエピソードで、ゼーレはゲンドウさんたちの行動を制限することができず、苦慮しまくりです。というか、そのために加持さんを使っているはずなのに役に立たないので、見放しモードに突入します。
  • ゼーレにとっては、見放し=暗殺です。
  • 自分自身に死亡フラグが立ったことを察知した加持さんは、「俺のことを殺そうとしなかったネルフが一番マシ」と判断し*2集めた情報をミサトのために残して、冬月先生を救出して、とにかくその時点でできることを全部やってから、殺されました。偉いです。立派な大人です。

*1:セカンドインパクト

*2:これはウソです。碇ユイがやりたかったこと…エヴァ初号機としてシンジを、ゲンドウを、そしてひいては地球生命そのものを見守る…に共感したのでしょう。