アンスネスが化けた?の巻

最近すっかり興味を失っていたアンスネスの「展覧会の絵」を聴いてみました。驚いたことに、ホロヴィッツ編曲版を弾いてます。近年のクラシック界は原典主義で、この曲もムソルグスキーのオリジナルを弾く人しかいませんでした。ときどきホロヴィッツ版を弾く人がいたんですけど、イロモノ系のピアニストばかりでした(笑)。なので、イロモノとは対極にあったアンスネスホロヴィッツ版を弾いているのに驚きました。実際はホロヴィッツ版に対してさらにいろいろ手を加えているのですが、基本路線はホロヴィッツです。というか、カップリングが「子供の情景」って、どんだけホロヴィッツへのオマージュを込めれば気が済むんだ、という気もします。
演奏解釈は従来のアンスネスの殻を打ち破るようなアグレッシブさがあって、こいつようやく人前でパンツを脱ぐ勇気が出たのか?と嬉しい驚きです。でもまだチンコが勃起してないような気がする。「パンツを脱ぎ捨て、チンコを立てろ!」ってのは庵野秀明の言葉ですが、要は本能のまますべて自分をさらけだせ、リミットを設定するな、ってことですよね。今回のアンスネスはとりあえずリミット解除モードにあったのは確かで、響きが濁ってもおかまいなしにペダルを踏み続けたり*1、なかなかすごいです。
子供の情景」もホロヴィッツ流の弾き方が随所に出てくるのですが、全体の雰囲気としてはアンスネスらしい静謐なファンタジーの世界です。バランスを保ちつつ殻を打ち破ったアンスネス、さらに化けてくれると嬉しいんですけどね〜。
展覧会の絵」ですが、オリジナル版にある変なパッセージを改変して難易度を下げつつ演奏効果が上がるように編曲されていると思います。あとオクターブ上げ・下げは頻出しつつ、ホロヴィッツらしいあざとさは軽減しています。鐘のモチーフも多用してどこかラフマニノフ風。このホロヴィッツアンスネス編曲版を弾きたいって人、多いんではないでしょうか。

*1:ホロヴィッツもやってたことですが、今までのアンスネスは絶対にしなかった。