ネットも使えないし、やることもないので、とりあえず金沢フォーラスへ出向きました。まず入口のATMでみずほ銀行のカードが使えたのでよかった*1。で、公開直後の「のだめ」を横目にヤマトを鑑賞。中盤まではかなりテンションが高くいい感じなのですが、後半がちょっと変。途中から明らかにシナリオが変わってます。ただ全体としては、ちゃんと記憶通りのヤマトです。はい。それは間違いないし、特に前半はノスタルジーを刺激する演出満載なので年季の入ったヲタなら「ここはこの音楽だよね!」「そうだよね、英雄の丘に行くよね!」みたいにいちいち納得しながら泣けます。たまんねえよ。氷川竜介先生が論評でこの映画を絶賛しつつ「どうも私はヤマトというだけで冷静でいられなくなる。普通の人はあまり期待しないで見に行け」と書いていたのがわかります。ええ、私はもちろん普通の人じゃありません(笑)。
とはいうものの、ヤマトなのでご都合主義的な展開は満載ですし、SF考証面でもいろいろ問題点が。そのあたりをまとめてみますね。
- ブラックホール出しすぎ。あとそれはフライバイじゃなくて、スイングバイだろう。
- あんなにブラックホールを出すなら、相対論的効果を映像として見せてほしいですねえ。背景の宇宙が歪んで見えるとか、事象の地平線*2に近づくに従って物体が赤く見えるとか。
- ラストあっさりしすぎ。もっといくらでも盛り上げようがあるのに。とにかく後半の演出が変なのよね。
- 前作からのキャラはかなり性格が変わって違和感がある。そもそも現場第一主義の真田さんが長官なんて役職に就くわけない、と思うのですが。古代に至ってはもう別人で、声が山寺さんなのでエヴァの加地さんにしか見えません。めちゃくちゃかっこいいけどさ。あと島がいて「なんで生きてるの?」と思ったら弟の次郎だった。パンフレット読むまでわかんなかった(汗)。
- ヤマトの主砲の表現、効果音が変わってしまったのは痛い。エンジンの始動音などが同じで発進シーンとか激燃えるだけに。
- 敵側は明らかに説明不足。敵側のドラマを濃厚に見せると、厚みのある話になったと思う。どうせ観客の年齢層は高いので、もっと政治的な内容に焦点を当ててもいい。
- というか、現代社会のメタファーとしていろんな異星人を出しているみたいです。多国籍軍の中に強大な力を持つ奴いてそれに逆らえないという政治的に難しい状況があるのに、艦隊指令の独断で逆らったりしてわけわかめ。まあこのあたりの統制のなさがヤマト流といってしまえばそれまで。
よかったところ
- ヤマトの3Dモデリングが異様にかっこいい。特に側面の膨らみ具合や曲面の作り方、見せ方に相当なこだわりがあったようで、手描きよりずっと色気のある線が出てます。
- しかしアナライザーはCGじゃなくて手描きなの!(わかってますね〜)
- 往年の湖川作画。湖川アオリ。人体をきちんと立体として描いています。眼球も球体として描いてるので、アップになっても奥行きが失われません。あとレイアウトやパースの取り方が「さらばヤマト」時代を踏襲していてかっこいい。女性キャラの横顔もとても美しい。
- 湖川さんもいろいろ思うところがあったらしく、まんがアニメ調の表現*3をなるべく避けるにはああいうキャラデザインにするしかないという。「頷いたときに輪郭線がグニャグニャと変な動きをしないこと」など、当たり前のリアリティにこだわりを持って描かれているので、作画レベルは非常に高いです。
- アマール星の文化歴史など背景説明を必要最小限しかしないのは上手い。これをダラダラやると、かつてのゴッドマーズのマルメロ星編のように「不要なサイドストーリー」扱いされてしまいます。
- アマール人の作画が気合い入りすぎ。なんであんなにモブシーンがあるのよ、みたいな。
- ゴルイ提督(別名デスラー)は、出さなくても良かったと思うんだけど、実際にあの声であの性格で出てこられるとかっこいいことは確かです。
- 古代が以前の服を着てるところ。上着を脱いだ時が、この映画で最高に盛り上がったポイントだと思う(笑)。
- 音楽はほとんど反則的。過去の曲は「ここでそうくるか!」「これしかありえない」「い〜まもこころにの〜こる〜、い〜としいおもかげ〜(号泣)」みたいな使い方だし、クラシック曲についても独立を勝ち取るための戦闘シーンにショパンのバラード1番を流すとか、感心するような上手さがある。
- ストーリーや演出上の瑕疵を「ヤマトだからまあいいか」みたいに許せる人は感動できます。見るべき。
- 声優陣がんばりすぎ。伊武さんがアニメに出るのって久しぶりだと思いますが、段違いのうまさ。
- やっぱ真帆だよね。真帆かわいい。真帆サイコー。どうせチョイキャラだろ?みたいな事前予想を覆す萌えキャラっぷり。男性の新乗組員が揃ってキャラ立たない中で光り輝いていました。
- 第三艦橋が大破していくプロセスを見事に映像化。これがまたすごく丁寧な描写。バラバラと外装がはがれおちていく様はイデオンの最期を彷彿させる。さすが湖川さん(笑)。
- 森雪×ワープ=全裸。第1作以来ですよ。やりますなあ(笑)。