ヴィルヘルム・ケンプのシューマンの巻

DGから4枚組で出ているので聴いてみました。1967〜75年にかけて録音されていて、音質はまずまずです。しかし枯れているというか、やはりメカニックの衰えが酷い。打鍵、離鍵ともに速度が遅いし、細かな動機のアーティキュレーションの特徴づけも弱く、切れ味悪いシューマンです。でも鈍重とまではいかないし、演奏解釈はさすがの深さでクライスレリアーナや幻想曲は内田光子に匹敵するかな、という感じ。ソナタは2番しか入ってないのですが、情熱的な曲想にテクニックが追いついていかなくてすごく中途半端な仕上がりで残念。なぜ1番を録音しなかったのか惜しまれます(1番の方が合っていそう)。あと「森の情景」は枯れたピアニズムが曲想とマッチしていいです。