トルルス・モルクのチェロ協奏曲集の巻

Virgin Classicsからリリースされている5枚組廉価版です。かなり重い曲で構成されていて、一気に聴くと死ねます。収録曲はハイドンの2曲、ドヴォルザークチャイコフスキーロココ変奏曲)、プロコの交響的協奏曲、ミヤスコフスキーショスタコ2曲、ケルニス3曲。作曲年代順に収録されてます(シューマンが入ってないのが惜しい)。チェロ協奏曲の歴史を俯瞰することができると思います。ポイントはドヴォルザーク先生で、この人が決定的な名曲を作ってしまったために後に続く人にとっては一気にハードルが上がってしまったらしいです。なので、それ以降の作曲家のチェロ協奏曲はクソ重い曲だらけになってしまいました。特にロシア勢が異常です。チャイコのロココ変奏曲は演奏会用小品という雰囲気が強いですが、プロコやショスタコロストロポーヴィチの切迫感ある表現力を前提に作曲しているので技術的にも音楽的にも非常に高度で聴き応え満点の傑作になっていると思います。若いころのモルクなので、演奏スタイルはロストロポーヴィチの影響が濃厚です。ただ音色がきれい(荒れた音色をほとんど使わない)だし、音程もしっかりしているので、ロストロより聴きやすいと思います。