ゲルギエフはやればできる子の巻

ラフマニノフ交響曲第2番。60分超の愛欲全開&全壊ワールド。俺様大歓喜のCDです。
この人は仕事をしすぎなのか、当たり外れのある指揮者です。自分は生では当たりというか、ほとんど大当たりといってよい演奏を聴いてるのですが*1、それでも「今日は大丈夫かいな?」という不安をもちつつ演奏会に向かうのが基本です。録音も似たような感じで、当たるとものすごいんだけど、とにかく打率が低い(笑)。ロシア系のくせに近代ロシアの作曲家(プロコフィエフショスタコーヴィチ)との相性があまりよくないこともガッカリ感を高めている一因ですね。
それで、ラフマニノフ。このブログを読んでいる人はご存知のように、この曲は私がどうにも大好きな1曲で、でも良い録音が少なく、なかなか満足できるCDがないのです。ゲルギエフもキーロフ・オーケストラとの録音があるのですが、かなり先走った演奏で、あまり好きになれませんでした。ですが、最近のゲルギエフチャイコフスキーにしても以前のようにガンガン煽らずにじっくり溜めて聴かせた上で盛り上げる、みたいな解釈に変わってきました。これならラフマニノフでもよい結果を出すのでは?と思って聴いてみたら・・・やってくれたよ、ママン。
当たり前のように第一楽章の提示部をリピートした段階で、もう名盤確定。ダラダラ&ズルズルに長いのがこの曲の魅力なので、リピートを省略した演奏は存在価値がありません*2。第二楽章もむやみに煽らないし、第三楽章はいい感じにドロドロだし、第四楽章の絶妙なコントロールぶりもさすが。あとこの曲はフィナーレの最後のドンチャン騒ぎ⇒とどめのラフマニノフ終止*3が異常にかっこいいことで有名ですが、ゲルギーたんが指揮台の上でピョンピョン飛び跳ねながら汗と涎を撒き散らしてる様子が目に浮かぶようなものすごい全力疾走です。長い長い旅路の末の勝利のウイニング・ラン。やっと満足できるCDが手に入りました。

*1:究極が2004年のブロンフマンウィーンフィルとのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番

*2:そこまでいうか

*3:ジャンジャジャジャン!