今日は金沢フォーラスの島村楽器に行って、心置きなく試弾してきました。
カワイ CA12
これはCA93との比較のために弾いてみたのです。CA93の廉価版というわけではなく、とにかくなんとかして木製鍵盤を使ってみました、あとは超絶コストダウンしちゃったからゴメンナサイという製品です。だから本体スピーカーから出てくる音が異様にショボショボだったりしても気にしない！それよりも問題なのは鍵盤の戻りで、妙にバネっぽく、速い離鍵をすると指が離れた瞬間に「ガタガタッ」という感じに揺れます。これが非常に不快。シーソーアクションで滑らかに戻るCA93/63とは明らかに感触が異なります。せっかく木製鍵盤＆人口象牙風の加工をしても、これではイカン。おそらく、初心者〜中級者までの子供がターゲットです。あまり指が速く動かない子ならそれほど気にならないと思います。プラルトリラー（ドレド〜などの装飾音）を弾くようになると、このガタガタ感は確実に嫌われると思います。
カワイ CA93
本命なのでじっくり試弾。まず打鍵時のカックンは白鍵、黒鍵ともあるのですが、ローランドほど明確ではなく正直なところ無くてもいいレベル。シーソーアクションで自重で戻るため、鍵盤の戻りはどうしても遅め。でもトリルや連打には支障が出ません。音色的にはピアニッシモの表現力が半端ない。pppまでちゃんと音量を絞っていけるし、徐々に音量を上げた時の音色変化もスムーズ。あとローランド比でタッチに対しての反応がシビアで、しっかりクラシック曲を練習したい人に向いているように思います。あと黒鍵がきちんとしているのは超重要。他メーカーは白鍵はいいのですが、２５万円超モデルになっても黒鍵がおざなりです。CA93は鍵盤の動作支点の位置を黒鍵と白鍵で変えていて、黒鍵の方が奥に支点があるので、非常にリアルです。他社は黒鍵も白鍵も支点位置が同じなので、黒鍵の動きが軽いのが普通。CA93/63のタッチの特徴として、鍵盤を押し込んだときに独特なフワフワ感があり、ピアノっぽさをスポイルしています。このフワフワ感さえなかったら決まりなんですけど・・・。
ローランド HP-307GP
対抗馬。ダブルエスケープメントのカックン感が強い鍵盤で、遅い打鍵で弱音を弾こうとすると違和感があります。鍵盤の戻りは良いですが、若干のバネ感というかガタガタ感があり、速いパッセージを弾く時に気になります。ヤマハだと廉価機種でもこういうガタガタ感がうまく抑えられていてさすがだと思います。ただし、本物のグランドピアノでも多少ガタつくのが普通で、逆にリアルという感じもします。あとカワイ比でタッチに対する反応がそれほどシビアでなく、弾きやすいけれどクラシックの微妙な練習には向かない感じです。音色的にはスタインウエイだし、V-piano直系でいろいろエディットできて面白そうですが、じゃあ使いこなせるかというと、うーん。タッチと音色の関係も追い込めばカワイ並になりそう。でも現実的にはプリセットのまま何も手を加えないんじゃないかと思います（笑）。
総評
連れにも言われたんですが「ヤマハAvant Grand買うしかないんじゃないの？」という感じです。知らなければホントにどうでも良かったのですが、いったんその魅力を知ってしまうと「アバングランドはこうだった」「アバングランドならこんなことはないのに」みたいに常に自分の中で比較が始まってしまいますので、どうしようもありません。要は３０万円出してニセモノ感満載の電子ピアノを買って、どこまで嬉しくなれるかどうか、ということなのですが。どうせニセモノならもっと安いものでもいいんじゃね？という気分もあります。そうなるとヤマハのCLP-340あたりでいいじゃん、みたいな気持ちも出てくるわけ。ふう。
今後の展開
電子ピアノは電化製品なのでメンテナンス部品がいつまでも入手できるわけではなく、１５年、２０年と使い続けるのは厳しいです。たぶん１０年くらいで買い替えないといけません。子供なら小学校入学と同時に買って中学卒業まで使う、みたいなパターンです。１５万円以下の製品なら１０年目で破棄しても、そこそこ元を取った気になれますね。だけど３０万円だとそうはいかない。カワイCA93もローランドHP-307もすごくいい電子ピアノなのですが、アクション機構がかなりセンシティブで、どのくらいの期間まともに使えるのかが非常に不透明です。特にCA93は発売されて１年経ってないので、不具合報告とかありません。電子ピアノはセンサーが８８個付いている精密機器なので、どうしても故障が多いんです。古いタイプの電子ピアノだと単純な機構になっているので比較的長持ちするようですが、ハンマーアクションタイプはいろいろ不具合が出るようです。しかも修理可能期間がどの程度まで延長してもらえるのか、正直なところまったくわかんねーよ、という感じです。以上のようなこともあり、いま電子ピアノを買い換えるのが得策なのか、もう少し真剣に考え直してみようと思います。
