ロルティのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集の件で追記の巻

だいたいひととおり聞き終わったのですが、初期の曲の演奏がかなり素晴らしいので改めて追記です。デュナーミクは激しく、しかしフレージングは麗しく、という感じで、ううむ、これはもう文句のつけようがない。でも唯一気になったのは悲愴の第一楽章で、第二主題でテンポが微妙に落ちてしまうこと。こんな達人ですらあの跳躍を恐れるとは(笑)、みたいな感じ。
私はベートーヴェンのピアノ・ソナタはルドルフ・ブッフビンダーを標準と見ています。いろいろ聞いてみたもののメカニカルな技術論でブッフビンダーを上回る人がほぼ皆無という状態なので。演奏解釈があまりにも教科書的でつまらんとかいろいろ問題はあるのですが、ピアノレスナーが参考に聞くならこのくらいオーセンティックなほうがいいんじゃないの?という話もあるし。で、今回のロルティの全集は中期がイマイチとかやはり問題はあるものの、メカニカルな面はカンペキですしやはり初期の曲をこんなに生き生きと聞かせてくれる人は少ないので、ブッフビンダーを抜いて決定盤に推挙。