重力崩壊が始まっているポゴレリッチのベートーヴェンの巻

http://youtu.be/zF_6dbSLuos
冒頭の弾き方がおもしろい。けれど、許しがたい。そしてピアノ演奏としては、文句なくうまい。
33分もかかっているので「遅いんだろうな」とは思いました。なんというか、まだブラックホールにはなっていないけれども、そろそろ重力崩壊が始まりだしたかな?という雰囲気。これだけ遅いテンポで弾くことは、わたしにはできません。
第二楽章がかなり遅くて、トリルも信じられないほど遅いんですけど、拍子に合わせて正確に入れてます。最後のトリルは、3:8で入れてるっぽいです。こういうアホなやり方は、あたまおかしい、としかいいようがありません。しかしこの美意識というか、こだわりは、とてもポゴレリッチらしいです。あと4−5で延々トリルするのは、見ている方が腱鞘炎になりそうだからやめて。
このトリルは、とても難しいんです。左手が三連なので、左手3個に対してとか9個とか、左手に対して3倍系列でトリルするのは、きわめて困難です(拍頭の指が変わるから)。かといって、左手3個に6個では少なすぎるし、12だと演奏困難になります。だからといって8個はないだろうと(笑)。
自分としては、3:9のトリルが最高に美しい比率だと思ってます。でも自分で弾く時は、変奏が進むごとに陶酔してしまい(なにしろものすごい名曲)、最終変奏のトリルはいつもヨレヨレです。

なにはともあれ、このくらい1音1音を大切に弾くことを、日々心掛けたいと思います。このテンポなら、ツェルニー30番くらいの人でも弾けるんじゃないの?集中力が持たないと思うけど(汗)。