音感が甘い自分が恥ずかしいの巻

調性によって心の揺さぶられ方が変わるという話ですが、さらばヤマトを見ていないとわからないので、見ていない人は読み飛ばし推奨です。

さらばヤマトというよりも、当時のあらゆるアニメの中で屈指の名曲とされる「想人(おもいで)」です。上記のmp3では、アレンジ違いで4曲並んでいます。

  1. さらばヤマト音楽集より。サントラではなく、このアルバムのために編曲&録音しなおしたフルバージョン(0:00〜)
  2. 映画の中で使われたアレンジ1(3:00〜)
  3. 同2(5:08〜)
  4. 後になって出たシンセアレンジバージョン(7:11〜)

自分は1と4を聴くとしんみりとした気持ちになりますが、2と3は始まった瞬間に高確率で涙腺が怪しくなります。
その理由がわからなかったのですが、こうして並べたものを聴いてわかりました。調性が違います。1と4はヘ短調で、2と3はニ短調なのです。あの映画の最後で主人公から語られる悲壮な決意と、永遠の生命(=死)を表現するのに適した調性はどちらか、もういうまでもありません。

私は30年以上この曲を弾いていて、この事実に気づきませんでした(汗)。
というか、小学生のころから1(ヘ短調のフルバージョン)ばかり聴いていて、それをもとにヘ短調でピアノを弾いていたので、すっかりヘ短調で刷り込まれていました。さらばヤマトは終盤の作画崩壊が見ていてつらく「この映画はもう思い出として、永遠に仕舞っておいたほうがいい」と思って、20歳以降は見ていなかったこともあり、ニ短調のバージョンはすっかり忘却の彼方でした。しかし、久しぶりにさらばヤマトを見て、この曲が流れるシーンでどうしようもなく泣けてしまい、そのときは自分も涙もろくなったな〜とか思ってましたが、その後も2と3だけ(特に2)がとても泣けるので、不思議に思っていました。でも実は、調性の違いが影響していたのでした。
ということで、この曲はもうこの先ずっと、ニ短調で弾くことにしました。ニ短調で弾き始めたのは先週からですけど。
ニ短調で弾いたときのほうが表現力が格段に高いです(と思います)。いままで、ともすればおざなりだったヘ短調での演奏を聞かされてきた人には正直スマンカッタ。これからは「教えてください、沖田さん」と胸の中でつぶやいてから、ニ短調で弾きます。←この前フリというか、心構えが重要。

※その他の要因
収録アルバムにクレジットがないので推測ですが、2と3のピアノは、音色とフレージングからまず間違いなくハネケンです*1。速く指を動かさなくても、たくさん音符を弾かなくても、しっかり歌って演奏すればここまで人の心を揺さぶることができるという、すばらしいお手本です。

※ボーカルについて
短3度も違うと、歌い手さんは大変ですよね。ヘ短調のバージョンは川島和子さんならではの美しい高音がさえわたり、これはこれで好きです。

*1:1のヘ短調バージョンでピアノを弾いた人は、クレジットからハネケンではないことがわかっています。この音楽集は2日間で録音されていますが、ピアノがメインになる曲はハネケンが参加する日に収録しています。超多忙だった彼のスケジュールに合わせた収録日程ということが、いまになってようやくわかりました。この傾向は「完結編」まで変わりません。