Ivory II American Concert Dの巻

このシリーズは、「波形容量が多ければいいってもんじゃないよね」という代表選手といってよいと思ってます。最新のD274で、ようやく少しマシになったかな?と思います。
http://www.minet.jp/synthogy/american-concert-d#2
ピアノの調整が独特ですね。中低音域のビ〜ンという金属っぽい倍音が気になります。また、右半分くらいの鍵盤を、ちょっと強く弾いたときの暴れっぷりがすごいので、タッチコントロールが難しそうです(スタインウエイではありがちな特性)。低音域はフルコンとは思えないほど膨らみが不足していますし、やはりフォルテで弾いたときに金属的な倍音が多く乗り、好きな調整ではありません。でもNYスタインウエイらしい音ではあります。
デモのスケルツォ2番のラストは、ホンモノのD274ならもっと盛大に鳴り響きます。でもこのピアノは全く響いていません。なので、曲として演奏した時にウソっぽさが際立ってしまうのだと思います。ソフトウエアに共鳴シミュレーションが入っているようですが、それをやってこの程度だったら困ります。指2本くらいでピアニッシモで弾いたときは最高に美しいと思います。1コ1コのサンプル(音)は悪くないんですけどねえ。
波形容量49GB(強弱20段階)で定価18900円。こんなに大容量だと、取扱いも大変ですね。

http://www.minet.jp/synthogy/demo_sample-music#2
これが以前の製品です。誇大広告だったので、かなり叩かれました。このデモでも盛大にやらかしてます。木枯らしがひどい*1。さすがにこの程度のクオリティでは、クラシック用途では買おうとは思えないですよね(汗)。
でもアンサンブルに入ると、メリハリがあってよいと思います。

いずれにしても、この会社のピアノ音源は、ピアノの調整&調律も、サンプリングの仕方も、そもそもクラシック用途には向いていないと感じています。
なのに、わざわざクラシック曲でデモをやって、ボロを出しているような気がしてなりません。もしかして「クラシック用途には使わないでね。頑張ってもこの程度よ!」という注意喚起なのかしら。

※ボロクソに叩きましたが、同社から出ているファツィオリのサンプリング音源で弾くクラシックはいいと思います欲しいです。ただし、ファツィオリはスタインウエイよりアタックが遅いので、ポップスやジャズには不向きです。だからデモはクラシック中心

*1:冒頭のE(ミ)の音の鳴り方がすごく変です。