宇宙戦艦ヤマト2199第三章「果てしなき航海」を見ましたの巻

6日に行われた先行上映会に行ってきました。ざっくりとした感想は「第二章と比べると地味。だけど、とても面白い」です。

第三章は、7話〜10話です。ここまでで旧作の第12話「絶体絶命!!オリオンの願い星、地獄星」にあたるエピソードまで消化しています。ヤマト2199は第二章(冥王星基地撃破)までで旧作比で2話分短縮していています。第三章ではさらに2話分のエピソードをカットしたうえで、2話分の新エピソードを追加しているので、トータル進度では第二章から増減ゼロになっています。
第三章のポイントはもちろん新エピソードで、特にアナライザーが絡んだ話は非常に内容が重く、作品としての深みを増すいいエピソードだったと思います。また、全体的にサブキャラの掘り下げに力が入っていて、上映終了後は旧作からのファンらしいおばちゃんたちが「あそこで南部は行かないとダメよね!」「雪が古代君を好きになるのが早すぎるんじゃ」「いや、以前も太陽系サヨナラのあたりではもうすっかりデレていた」などなど、キャラ談義に華を咲かせていました。監督してやったりではないでしょうか。

自分も、細かな演出の追加によって、キャラクターの個性がはっきりしてきた点を高く評価したいです。というのは、旧作を見返して気付いたんですが、例えばデスラーは何を考えていてどういう人なのか、バラン星までよくわからないのです。かろうじて、地球に移住を目論んでいることがわかる程度。バラン星の戦いの後で、デスラーがドメルの処刑をやめさせるエピソードが入り、ただ単に冷酷非情な君主なのではなく、人を見て情のある采配をすることもある、ということがわかります。その後に、「さらば」や「新たなる旅たち」といった続編があって、デスラーが古代にとっての好敵手であり、またガミラス帝国を率いる優れたリーダーであり、さらには友人でもあるという、複雑なキャラクター像が確立されていきます。出渕監督は、それをヤマト2199の中だけで確立しようしているようで、結果として第三章ではデスラーに対する印象が非常によくなりました。ただの怖い独裁者じゃないですよ、ガミラスにも事情がありますよ、ということがよく伝わってきます。

ほかにヤマト側のキャラ描写のポイントとしては、森雪の謎がますます深まったこととが上げられます。さらに、真田さんが複雑な心情を語るシーンがあり*1、自分はかなり真田さん萌えになってしまいました。
以上のように、サブキャラに力を注いだ分だけ、古代の描写がやや希薄になった感は否めませんが、結果的に宇宙戦艦ヤマト2199は、地球側とガミラス側双方の群像劇を見せるアニメになるだろうと思いました。

なお、音楽は新曲(BGM)が入っていました。旧作ファンお待ちかねの「真っ赤なスカーフ」も、きちんと流れます。
第二章までにたくさん存在した旧作オマージュな演出は、あまりにもストーリーに熱中していたため、拾うことができませんでした。サルガッソーは「さらば」のオマージュだよね?程度です(笑)。

※まとめ

  • 最後に見えた地球の色は。*2
  • シュルツ司令は素晴らしい。ガンツもよくやった。冥王星基地関係の改変は文句のつけようがない。相変わらず名前しか出てこないドメル将軍にも期待。
  • ガミラスの設定をちゃんと作ってました。ヤマトは旧作〜完結編に至るまで、敵方にまともな組織構造がありませんでした。
  • なにげに女子キャラのサービスシーンが多い。あざとい。
  • 相変わらず、旧作の印象的なシーンを極力拾っています。なので、森雪の「さよならは言わないわ。行ってきます」のカットのように、重要な場面がカットされた場合は、それなりに意味があると考えた方がよさそう。
  • 旧作では1話ごとのサブタイトル表示がなかったけれど、2199では表示されている件(いまさらですが)。

*1:旧作では例の要塞のエピソードまで真田さんはほとんど出番なしだった

*2:エヴァのサブタイトル風