北村朋幹くんのラフマニノフが素晴らしすぎたの巻

昨年末にNHK-BSで放映された下記の収録が素晴らしい演奏で感動しました。

ラフマニノフの2番のように、いままでさんざん聞いてきた曲は、よほどのことがない限りわざわざ再聴しようとは思いませんが、彼の演奏には、最初の1音から引き込まれてしまいました。素晴らしかったです。自分がいままで聴いたラフマ2番の中のベスト演奏になりました。ラフマニノフ特有の、たくさんの音符の中から陶然と浮き上がってくる息の長いメロディの紡ぎ方、スケールの大きなフレージングが抜群で、高い技術をもとにした確かな音楽性を十分に伝えていたと思います。特に第一楽章の展開部が素晴らしく、分断された第一主題と鐘の音が掛け合うところなどは、思わず泣きそうになりました。この人のピアノは、パッセージがうねるんですね。
全体を通していえるのは、自分が歌いたいラフマニノフカンタービレは、こういうものです!という主張が明確かつ的確。オーケストラも非常によく(弦楽器、特にビオラとチェロがロシア調の歌いまわしで泣かせた)、感動をより一層高めていたと思います。
伊藤恵さんに師事しているそうですが、師匠と同じように、どんなに音符が増えても、決して機械的なニュアンスにならないのがいいですね。すべてのパッセージを、意味のあるものとして弾いているところに、好感が持てます。

北村君は、中学生のころから知っていますが、当時は自発性に乏しい演奏をする子供だと感じていました。20歳を超えて、これからさまざまな経験を積んで、立派なピアニストになっていくと思います。

※きょうはこいつの演奏を4回も見てしまったせいで何も手つかず(笑)。チャイ4も非常に丁寧で良い演奏でしたが、自分はあの曲に「丁寧・緻密」は求めません。必要なのはひたすら勢いと爆発力で、アンサンブルが崩壊するくらいでちょうどいいと思ってますが、センチュリーは見事に一糸乱れませんでした。どこのオケでもたいてい崩壊するのに(笑)。