飛ばしていくよ:矢野顕子/Merry Christmas Mr.Lawrenceリマスタリング:坂本龍一

飛ばしていくよ
    • 矢野顕子による若い才能の青田刈り、ここに極まる。
    • Rei harakamiが遺したもの。原神さんがいなかったらできてないCDですねー。
    • プロモーションが未だかつてないほどゴージャスでウケた。語弊を招く言い方ですが、この人ってもう還暦BBAですw
Merry Christmas Mr.Lawrence 30th Anniversary Editionリマスタリング
    • アナログLPとCDの両方を持っていたので、CDの音の悪さは先刻承知ではありました。
    • 未収録曲が集められた2枚目こそが本編。ここはすごく語りたいところなので、これ以降は2枚目の話しかしません(笑)。
      • 当時の教授のインタビューでは、ハラキリの場面に流れる音(効果音)*1が最初にできた、あの音は画面から聞こえてきたとか、進軍ラッパみたいな、でもそうじゃない音が云々*2、という話があり、自分もこの2つの音が非常に印象的だったのですが、旧サントラには収録されませんでした。今回そのどちらも、2枚目に収録されています。感激。泣いたわw
      • そのほかにも、「The Seed」の実際に映画で流れたバージョン(ボウイの顔に蛾が止まってるあのシーン)とか、ボウイが朦朧として幻影を見るシーンで流れる「最後の後悔」のテイク2とか、旧サントラに未収録で非常に印象深い音楽をことごとく拾ってくれてあるので、今回のリマスタリングの意義はもうこの2枚目にあるといってよいでしょう。
      • そもそもタイトルロール曲自体が、サントラ盤と実際に映画で流れたバージョンが違ってるようで、これも2枚目に収録されております。
      • すごく音が良くなっていて、「詩篇第23番」においてProphet-5で演奏されるオルガンにホワイトノイズが混ざってるとか、シンセの音作りの微妙な要素がクリアに聞き取れます。
      • クリアに聞こえるので、音色の分離がよく、Prophet-5の音作りが意外と素直というか、ふつうに思えました。たとえば、テーマ曲のイントロで流れる三連符のパッセージは2種類の音色が混ざってるけど、それぞれはあまり凝った音作りではないとか、そういうことがわかります。以前のCDだと2種類が混ざっていることがよくわかりませんでした。
      • ライナーが非常に充実していますが、当時のインタビュー記事など、さまざまな資料を持っている自分にとっては、ほとんど既出事項でした。ただ1点、テーマ曲のメロディを取る印象的な音色はDX-7だと聞いていたんですが、このライナーノートではE-MUということになっています。DXでは作りにくい音色ですし、今回のリマスタリングでサンプリング音源特有の倍音成分が平行移動している感じがよくわかるので、E-MUなら納得です。あと、テーマ曲のリズム隊がLinn Drumだということもバラしてましたが、それは音を聞けば誰でもわかると思いますw
      • ティンパニE-MUっぽい。
      • このサントラを聴けば一発でわかるように、弦の音が非常に凝ってるんですが、かなりの曲で1パートずつ手弾きで録音した模様です。Prophet-5をモノフォニックモードで弾いてるから、和音が鳴らせないのですw

というわけで、2枚目が白眉なので、坂本ファンは必携のアルバムです。

*1:Disc 2 #24「カネモト切腹」M-13

*2:Disc 2 #7「俘虜」M-10