弾厚作@加山雄三 ピアノ協奏曲第1番ニ短調K-213「父に捧げるピアノコンチェルト」

羽田健太郎先生がピアノを弾いているのでCDを購入して聴いてみましたが、突っ込みどころ満載でした。
一言で評すると、まじめに作っているので笑えない、悪い冗談みたいな曲。

    • 突っ込みどころ
      • 「いい曲だろ。2番もあるんだぜ?」と言わんばかりの「第1番」。ちなみに2番があるという話は聞いたことがない。
      • それまでに212曲作ったんだぜ?と言わんばかりの「K-213」。加山のKですねわかります。(厚作のKだろ)
      • アシスタント(≠ゴーストライター)が存在することを堂々と公言。
      • その割にクオリティが低い第三楽章。
      • しかし、めちゃくちゃクオリティが高い第一楽章。これを弾きたくなる人は多いと思いますが、難しすぎて弾けないですw

以下、各楽章を解説

第一楽章
ロシアのいろいろな作曲家のピアノ協奏曲のエッセンスの寄せ集めた、後期ロマン派風の曲調です。
冒頭からラフマニノフのような情念系メロディと、ピアノの華麗な大アルペジョで、一気に聴衆の心を鷲掴みです。ハネケンは珍しくアドリブ控えめで弾いていて、堅実な演奏ですが実にお見事。
再現部があっさりとしているのが惜しい。もっとたっぷり聞きたい。この第一楽章のためだけにCDを買って良いと思います。
なお第一楽章のピアノパートは、ほとんどハネケンが書いたか、もしくはハネケンの意見が大幅に取り入れられたと思われます。そのため演奏難易度が高いのですが、後の曲(Symphony of the Aquariusや交響曲ヤマトのフィナーレ)と比較すると多少は弾きやすくなっています。

第二楽章
祈りの楽章。奥さんを亡くして落ち込んでいた父親を慰めるために書いたそうです。
音楽としてきちんと聞けるのは、ここまで。

第三楽章
古典派ピアノ協奏曲のフィナーレでよくあるロンド風の曲調です。
第二主題がベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番第三楽章そのもの。全体的にオーケストレーションも稚拙で、音楽的な質が低いと思います。
たぶんこの楽章は、弾厚作本人のオーケストレーションで、ピアノパートも本人が書いたと思います。管弦楽はともかく、かなりピアノがうまい人なので、もっと派手なパッセージも書けると思うんですけど、ベートーヴェンをリスペクトしたのかな。