「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦」の巻

公開初日なので、なるべくネタバレは回避します。

まず冒頭の「これまでの要約」からセンチメンタルなまとめかたで雰囲気がおかしいと感じましたが、本編に入ってそれはさらに加速します。

安彦良和総監督は、学生運動をやっていたようなバリバリの左翼で、しかもその運動の無意味さを身をもって知っている人です。今回のTHE ORIGINは、明らかにその経験が影を落としていると思われ、挿入されるエピソードはどれも左翼的感傷が伝わってくる描写になっていました。60分という時間の中で、ほとんど自慰行為ではないかと思うようなお決まりのエピソードを3つ4つと見せられると、さすがにつらいです。

安彦さんは状況描写より感情的な主観描写を優先する傾向が富野さんとの大きな違いだと思いますが、THE ORIGINが本格的な戦争アニメになった本作においては、その作風はマイナス方向に作用したと思います。その要因は、個を重視する左翼の視点に由来するのではないかと思いました。