宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第三章 純愛篇の巻(ネタバレなし)

今回も最速上映会に行きました。上映前に前説があり、上映後にティーチインという名のQ&Aコーナーがありました。登壇者は、中村繪里子さん、内田彩さん、羽原さん、福井さん、小林治さん(司会)で、ネタバレは大人の忖度で対応を、という小林さんのお願いにしたがって、大人の対応で書きます。

前説

風邪で体調があまり良くないという福井さんが、ダルそうに小ネタを連発したのが面白かったです。純愛とはどういうものか?といった話から始まって、純愛篇というサブタイトルが付いた映画は「人間の條件 第一部 純愛篇」(1959年)以来ではないかということや、内田さんが関係したアニメがゴタゴタしてる件や、お台場の実物大ユニコーンガンダムのイベントがあった件など、時事ネタを交えるのはいつものお約束です。

上映

第6話~第10話までの4話分で、各話の中に起承転結がありながら、第1話冒頭のズォーダーの言葉など以前に仕掛けられた伏線も踏襲しつつ、新しい展開が次々投入されるという多層的構造で、情報量も多いため、1回見ただけでは全貌を把握できませんでした。第三章で新たに加わったネタは2つや3つでは済みません。

そんな中でも特に人物描写が充実して、物語としての厚みが増したように感じました。ヤマト2199ではガミラス側の描写に力が入っていたため、沖田以外のヤマトクルーの描写が弱く感じることもありましたが、そのあたりのバランスも問題ありません。ヤマト、ガミラス、ガトランティスのキャラクターに、それぞれの役割に沿った芝居が入ります。旧作とは異なる2199のキャラクターを引き継ぎつつ、新キャラのポジションも確立した上で掘り下げているのは大したものだと思います。また、第二章までで物足りなかったことや、もっといえばヤマト2199で物足りないと指摘されていたことさえも、キャラクター演出のディテールの積み重ねで補完されていきました。圧巻です。福井さんがそれ(補完)を意識していたかどうかはわかりませんが、2199から見てきた人の心に刺さる内容だと思います。

「さらば」やヤマト2との大きな違いはガトランティス、特にズォーダーの扱いです。ズォーダーは予告編のとおり古代の前に姿を表して、強烈な印象を残します。2202のズォーダーは、かなり能動的ですね。これはとにかく見ていただくしかないです。前説で福井さんが愛の二面性(と言っていたんですが、むしろ多面性といったほうが良さそう)を描きたいと言っていたとおり、その一端が見えたような気がします。

戦闘シーンの描写は、やはりケレン味重視でした。ヤマト2202で強く感じるのは、戦闘のシークエンスや演出はビジュアル重視で、あまり戦術性を前面に出さず、手順を踏む描写などは二の次にされているということです。その一方で、戦闘中の会話や移り変わりゆく状況から、キャラクターや組織の性格を可視化し印象づけるように機能しています。つまり、戦闘シーン自体が舞台装置になっているんです。このやり方は第一章冒頭の戦闘シーンから一貫していて、第三章においては戦闘シーンにおいてさらに組織とキャラクターの掘り下げが行われました。なので、ハッタリの効いたビジュアルばかりに目を奪われてはだめで、戦闘シーンで何を表現しているかということを見抜く必要があります。ここが、先に述べた多層構造の1つです。とはいっても、初見で冷静に戦闘シーンを見るのはなかなか難しいので、何度も見るしかないと思います。

あと小ネタになりますけれども、エンディングの左側の映像に着目して下さい、という羽原さんのお願いを無視してスタッフ・キャストのリストを追いかけて、湖川さんの参加を確認しました。キャストでは細谷佳正さんは今回も参加しています。このへんのネタバレは問題ないでしょう。

劇伴は、第二章までは音量が大きくてうるさく感じるシーンも多かったのですが、バランスが改善されました。新曲もありますし、劇伴だけで泣けてしまうシーンもいくつかありました。*1

ティーチイン

ティーチインは個人的には割とどうでもよかったですが、あるキャラの行動は、ああするしかないよね、きっと何度でも同じことをやるよね、ということで盛り上がってました。うーん、やっぱりどうでもいいかな(笑)

ただここで、第四章の宣伝ビジュアルに第三章のネタバレ要素があることが判明したので、ネタバレを回避したい人はご注意下さい。第三章公開直後に第四章のキービジュアルが公開されるそうです。

とりあえず以上です。なにか思い出したら追記するかもしれません。

 

*1:劇伴についての記述が少ないのは、宮川彬良先生のヤマトーク開催を見越しております。