たなと先生にしては珍しい普通の男子高校生マンガです。「たなと」は言うまでもなくタナトスからの引用で、そんなPNをつけてしまう人ですからエキセントリックな設定の作品が多かったですし、特に攻め役が人生を捨ててるような(まさにタナトスを具現化したような)ところがあって、その痛さのある設定や描写に共感や魅力を覚える人もいたと思います。でも今回はそういうネガティブな要素は控えめで、無意識的に好き合ってしまった二人の微妙な心の動きを丁寧に描いています。押しかけで始まった友人関係の話なので終盤までBLという雰囲気ではなくて、徐々に関係性が深まっていく演出が優れていると思いました。クライマックスはかなり切なくて泣けます。
たなと先生の作品はかなり癖が強くて読む人を選ぶところがありましたが、この作品はどなたにもおすすめできると思います。amazonの評価がオール5になっているのも頷けます。 (でも坊主頭フェチだけは揺るがないw)
先日読んだワンルームエンジェル(はらだ著)と動揺に、この作品も幸せでリアリティのある終わり方をするので、昭和ファンタジーJUNEじゃなくて平成リアルBLドラマなんだなあという思いを持ちました。
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- 作者: たなと
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2019/04/19
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