プロコフィエフのピアノソナタを弾いてみたの巻(その2)

その1を書いてからだいぶ経ちますが、思い出したように弾いているプロコフィエフソナタです。放棄していた7番以降をがんばって勉強しました。

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・8番
この曲は第一楽章が重くて長く、中間に三拍子の変奏曲風で優美な楽章を挟み、最後は快速な曲調で華やかに終わります。つまりベートーヴェンの熱情ソナタの構成に近いです。そのため発表当時は画期的な7番と比較して退歩しているという批判もあったそうです。
第一楽章は冒頭こそ月光ソナタのようにまったりと始まるのですが、徐々に盛り上がってすさまじい音楽になるあたりはさすがです。特に、少ない音符で激しい慟哭と緊張感を表現した中間部は白眉だと思います。こういうのはプロコフィエフの十八番。この楽章は長いのと対位法が面倒なので難易度は10/10です。第二楽章は5ページのノクターン風の楽章です。難易度はソナタアルバム1程度ですけど、これを弾きたいという人はあまりいなさそう。もちろん自分は大好きです(笑)。第三楽章はピアニスティックに盛り上がるので難しそうに聞こえるものの案外弾きやすい(多少は弾きやすくなるように書いている)。転調しまくるのでいろいろな調のアルペジョ練習になるかもしれません。難所はたぶん人によって違っていて、速いところが苦手な人もいれば中間部の跳躍が音を外しやすくていやらしいとか、まあがんばりましょう。自分はアルペジョの中に突然同音連打が混ざるところが弾ききれないです。

ずっと6番を偏愛していた私ですが、新古典派という観点から見た場合この8番がもっともまとまりが良いように思いました。

・9番
この曲は全体的に禅問答のような構成(問いかけと応答という形が多い)で、盛り上がりに乏しいので集中力を維持するのに苦労します。しかし技術的な難易度は高くないです。ソナタアルバム2に入っている人なら余裕でしょう。でも難解なのでプロコフィエフ初心者がこれを弾くのは無理だと思います。なおフィナーレの終盤において、5連符トリルの上で旋律が奏でられる場面はどうしてもベートーヴェンソナタ32番を思い浮かべてしまいます。ハ長調ですしね。

以上でプロコフィエフピアノソナタ第2回を終わります。最も人気の高い7番をスルーしてしまって申し訳ありません。あまり好きじゃないのよね。ちゃんと勉強して理解すれば好きになれると思いますけれども。