フィリップ・カッサールのドビュッシー ピアノ曲全集の巻

 全体的にくぐもった音質のCDです。録音時期によって音質は違いますが、総じて良くないと感じました(同様の評が多い)。1990年代のDECCAのフランス系ピアニストの録音はこういう音づくりが多くて、フランス=印象派=ぼやけた音、という先入観でディレクションされているのではないかと穿った見方をしたくなってしまいます。

L Oeuvre Pour Piano

L Oeuvre Pour Piano

  • アーティスト:Cassard
  • 発売日: 2012/02/07
  • メディア: CD
 

演奏内容は、まったりとした雰囲気の曲は絶妙な甘さや色っぽさを感じさせる一方で、打鍵・離鍵速度が遅いので運動性が要求される曲は切れ味が不足して不満が残ります。あとフォルテが十分に出ていません。最初は録音のせいと思いましたが、あまりガンガン弾きたくないようです。「ゴリウォークのケークウォーク」などの軽妙な曲で、意図的にスルッと逃げるような表現をするのは、なかなか意地悪だと思いますが憎めないです(笑)