DAWが重い人にはVEP(Vienna Ensemble Pro)をおすすめしますの巻

sonicwire.com

<要約>

・Vienna Ensemble Pro(VEP)はソフト音源などをDAWから切り離して扱うことができる、DTMプラグインのホストアプリケーションです。
・VEPの上に仮想のミキシングコンソールを作ってソフト音源をマルチチャンネルで再生できます。
・コンソールは複数作ることができ、タブで切り替えられます(便利)
・操作としては、DAWとこのコンソールを相互接続する形になります。ほとんどのDAWは勝手に認識するはずで、コンソールを複数作るとVEP-1、VEP-2・・・というような形で別々のインスタンスとしてDAWが認識します。
・結果的にDAWの処理負荷が低下し、サウンドの再生が安定します。
・Vienna以外のメーカーの音源も使えて、VSTの32/64bitが混在しても大丈夫です。

ViennaのSynchronシリーズの音源を買うとSynchron Player(SP)という再生ソフトと一緒にVienna Ensemble(VE)の旧バージョンのライセンスがオマケで付いてきます。実はSPはシングルチャンネル再生しかできないので、DAWのチャンネルに対して1つずつ割り当てなければならず、運用が面倒なんですね。そこでVEをDAWに接続すると、VEの中でSynchron音源をマルチで再生できるようになるのです。というわけで、Synchronシリーズを使うにはVEが事実上必須だと感じております。

かように便利なVEですが、真価はその先にあります。
VEはDAWとは別にソフト音源として起動して、外部のマルチティンバーMIDI音源のように振る舞います。CPUやメモリもDAWとは別に使うので、DAWのリソースを消費しません(コンピュータ自体のリソースは消費しますが)。重いソフト音源を起動するとDAWのCPU使用率が100%に張り付いてノイズが出たりしますが、VEを使うとDAWはソフト音源のデコード処理から開放されるのでCPU使用率がぐっと下がり、DAWの動作が安定します。具体的には、CPU使用率が100%になって再生が途切れるとか、ノイズが入るということがなくなります。

VEPの最新バージョンではVienna以外の音源も読み込めるようになったので、重くてどうしようもないSpitfire Solo Stringsも問題なく使えるようになりました。Spitfire Solo Stringsは、ソロヴァイオリンを1つDAWで起動してチョロっと弾いただけでCPU使用率100%になってしまうひどい音源で、とてもじゃないけど使えないと思ったんですが、VEPから起動したら何も問題がないです。

そんなわけで、DAWの再生が重いな~と感じている人はハードを買い替えたりする前にVEPの導入を検討したらいいんじゃないかな?と思った次第です。音源だけでなく、エフェクト関係のプラグインも一緒にVEPで使うことができますので、DAWは曲作りに専念して、音作りはVEPに任せるという役割分担ができます。

なおVEP 7.0を買うとVienna Epic OrchestraというVienna Synchronシリーズのお手軽版のオーケストラ音源が付いてきます。お手軽版といっても70GBくらいの容量がありますし、その割に楽器が十分に揃っておらず、足りないものは別途購入する必要があるというViennaお得意の策略が待っていますので要注意です。

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか サントラ曲を準備中の巻

羽田健太郎氏のピアノが聴ける「揺れ動く心」という曲です。愛おぼファンにはおなじみの名曲です。

いままで何度か耳コピ演奏してきましたが、新しい環境に慣れる意味でもやっておこうとおもった次第で、改めてスコアを書き起こしました。

Roland SC-88VLで演奏したものです。動画をUPしたのは2013年ですが、演奏したのは1996年ころです。当時はまだピアノのレッスンを再開していなかったのでかなり必死に弾いたことを覚えています。

Roland soniccellでの演奏です。上記の動画のMIDIデータを流用できると思ったのですが、音源の反応が異なっていたのでかなり手を入れています。たとえばサックスは非常に良い音が入っていたので、そのサウンドに合わせて全部やりなおしていますし、ピアノもスタインウエイの拡張カードを使って繊細な表現ができるようになったので弾き直しています。これをUPしたあとにINTEGRA-7を購入したので、soniccellを使わなくなってしまいました。

いずれの演奏も中途半端な採譜でやっていたのが反省点でしたので、今回は全パートしっかりと譜面を書き起こしております。

ピアノはIvory II American Dで決まっていますが、オケがソフト音源を使いこなせなくて苦労しています。細かな楽器(サックス、アコギ、ベースなど)は使い慣れたINTEGRA-7にしようと思ってます。

ドビュッシーのアラベスク1番を演奏してUPしましたの巻


Debussy - Arabesque No.1 (sheet) ドビュッシー アラベスク1番(楽譜付き)

アラベスク1番は比較的難易度が低い曲で、初心者でも手が届きます。自分も10歳になる前に弾き始めて、中学生のころにはかなり弾けていました。ただ表現を考えるようになったのは高校に上がってからでした。
その後も折に触れて弾いていましたが、バロック時代の楽曲に関しての勉強を深めたことで解釈がかなり変わって、短いフレーズのアーティキュレーションを意識するようになりました。ただ、それだけだとフレーズが細切れになってしまうので、息の長いフレーズの表現と、オスティナートのように繰り返されるアルペジョの律動感の表現が両立できるように意識しています。

なおIvory II American Dで半日かけて音色を作りました。柔らかい音色のピアニッシモから、輝かしい音色まで自在に出せるので、演奏のやりがいがありました。ペダルを踏んだときの共鳴シミュレーションを使っているので、音に自然な広がり感があると思います。この機能はかなりCPUを使うと聞いていて、それも高速なPCに買い替えた要因のひとつです。iMac 2020(core i9 / 10コア20スレッド)ですが、ピアノ1つだけで30%くらいCPUを使ってしまいます。

クリストフ・ルセ(Cemb.)のバッハが素晴らしいですの巻

この1年くらい、バッハの鍵盤楽器曲はルセしか聴いていないほどハマっているのにブログにはまったく書いていなかったので慌てて書きます。

きっかけは、某所でアマチュアが弾くツェルニーの練習曲のように正確無比な演奏を身上とする某チェンバリストが変なふうに絶賛されていまして、いやそれはないんじゃない?ということで、いろいろ聴き比べしているときに、たまたまこの動画がヒットしてしまったのです。


Christophe Rousset. Bach English Suite in G minor BWV 808

冒頭の2つのスタカートの音からスピード感がすごくて、一気に引き込まれてしまいました。

そんなわけで、廃盤のCDをなんとか探して買い漁ってバッハ関係だけはひととおり揃えました。平均律集はまだ新品で入手できるようなので、同好の士のみなさまは入手されたほうがよろしいと思います。

いまさら QLSO Platinum Plus を購入したの巻

なぜって、EastWest製品がセールで60% OFFだったからです(値引きに弱い)
あと全部入り(ソロ楽器も入っている)だとか、サラウンドマイクの音があってリバーブ要らずだとかHollywoodシリーズとの差異も気になっていたので、日本円で5万円以下ならOKだと判断しました。

ちなみに延々60%オフをやっているのではないかという話もあって、慌てて買う必要はないと思います。

www.soundsonline.com

 

なお、日本語サイトでは当初はセール期間が9/31までになってましたw

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大容量音源でもサクサク動く理由=NVMe SSDの巻

新しいDTM環境で大容量音源がサクサク動いている理由を聞かれたので書いておきます。

NVMeという規格のSSDに音源を入れているからです。

従来のSATA規格のSSDと比較して、NVMeは読み出しが6倍、書き込みが3倍程度に高速化しています。DTMブログを見ると、OSやアプリの入っているストレージと音源は分けろというアドバイスが書かれている事が多いですが、あれは転送速度が遅いハードディスクのケースであり、NVMeのSSDであれば内蔵SSDに音源を入れても問題ないです。最近のPCに搭載されるSSDはほとんどがNVMeになっていて、iMacほかApple製品もそうなっています。

さらに自分は外付けのSSDもNVMeで、音源の置き場所を分散化しています。しかも転送速度が速いThunderbolt 3で接続しています。ここまでする必要はないという話もありますが、そのおかげか音源データの読み込みを待つことなく快適に使えております。またNVMeどうしでは数10GBのデータコピーも1分くらいで終わってしまうので、容量を気にすることなく、気軽にハンドリングできるようになりました。

DTMではストレージの速さが作業効率に直結するので、速ければ速いほどよいのです。ハードディスクを使っている場合は、SSDに乗り換えることで相当なスピードアップが実感できるはずです。

ストリングス音源も吟味中の巻

現状、総合オーケストラ音源をいくつか所有していますが、そこになにか専用音源を追加するとなると、まずはストリングス(弦楽器)なのです。サウンド的には総合音源でも満足しているものの、奏法切り替えの打ち込みがかなり面倒です。通常の音源は、楽器が使わない音域の鍵盤をスイッチにして切り替えますが、ViennaのSynchron音源だと3段階くらいのキーコンビネーションで奏法を切り替えるので、順列組み合わせでかなりのバリエーションになります。これを全部打ち込みで切り替えるのはしんどい。
やはりINTEGRA-7のSuper Naturalアコースティック音源のように、ベロシティの前後関係やデュレーションを判断して、自動的に最適な奏法を適用してくれる音源が望ましいです。そこまでいかなくても、強弱はコントローラ(CC01やCC11)で付けるけど、奏法はベロシティで判断する、という方式だと打ち込みが一気に効率化します。
このような観点で音源を調べていきました。合奏系とソロ系があって、ソロ系は自動的に奏法を適用するものがかなり普及している印象です。

  • SpitFire Chember Strings
    ベロシティでいろいろなアーティキュレーションをコントロールできるPerformance Legato というパッチが便利そうです。INTEGRA-7よりもアタックが速いので、速いフレーズにも対応できます。この動画でもわかるように、何も考えないでキーボードで弾くと非常にシンセっぽい鳴り方をするので、しっかり表現を考えて強弱や音を伸ばす長さを緻密にコントロールする必要があります。音源がリアルになればなるほど、生演奏と同じことをやらないといけない、ということですね。


    Spitfire Chamber Strings - Performance Legato Update

  • LA Scoring Strings(LASS)
    前に出てくるサウンドでとても評判がいい音源です。ただし作りが雑。ピッチが悪いことが多くて、デモを聞いていると突然音痴になるので思わず笑ってしまうことがあります。オートチューン(強制的にピッチを合わせるエフェクター)が必須ですね。


    LASS 2.5 Legato Divisi Demo

他にもいろいろありますが、良いものは高いので、ひとまず現状維持にして、年末近くのセールを狙って調査を進めようと思います。ピアノ音源はまずはIvory II American Dを外部エフェクト込みで極めたいと思います。
ピアノ音源も同様でにセール待ち体制です。Hans Zimmer Pianoは空間表現が図抜けているのですが、American Dでもエフェクトを上手く使えばあれと同じようなサウンドにできるんじゃないかな?と考えています。