ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンの巻(その1)

本日は以上の4公演でした。まずはイザイSQ。息は良く合っているし、楽しい演奏ですがもう少しアンサンブルの緊密さが欲しいかなと思いました。ただあまり緊密・濃密にするとベートーヴェンブラームスのような重苦しい雰囲気になってしまう恐れもあります。モーツァルトの曲はどのくらいまで濃度を高めるのか、バランス感覚が難しいと思います。ちなみに客席には堀米ゆず子さん(バイオリニスト)がいらっしゃいました。
次にホールCでのリチェルカール・コンソート。これはダメでした。古楽器の演奏団体ですが若いメンバーが主体で冗談抜きでギーコギーコという音色です。しかも音程が甘く、ほとんど調子っぱずれに聞こえるところもありました。
3番目はいよいよモツレク。5000人収容のホールAということもあり音響は期待していなかったのですが、思ったほど悪くなかったです。今回何度かホールAで聴きましたが、一階席中央前方は予想以上に音響がよく、満足度が高かったです。演奏内容は非常に素晴らしかった。生のモツレクは初体験ということもあってかなりウルウルしながら聴きました。入祭唱や「ラクリモサ」などのテンポの遅い曲より、「怒りの日」や「フォスティアス」のような激しい調子の曲の対位法が明確にわかり面白いです。あと、モーツァルト自身が大部分を作った曲と、そうでない曲(ジュスマイヤーの補作曲)は完成度に大きな差があることがわかりました。つくづく惜しいです。
4番目は午後10時開演ということもあってホールAが3割も埋まらなかったのですが、結果的にはこれが今回の白眉となりました。敬意をもってノイマン師と呼ばせていただきます。この人は宗教曲を神の声の代弁と捉えていると思いました。合唱団の発声法も違うし、オケは非常に繊細でシンフォニックな迫力は出しません。音量こそ小さめですが、合唱とオケのバランスも非常によく、ホールAの広〜い空間が美しい響きで満たされるのです。こういう演奏を聴くと、キリスト教徒でない私でも神の降臨を感じざるを得ません。終演後はスタンディングオベーション。客電がついてからも拍手はおさまらず、アンコールとなったのですがこれがまた涙物の名演でした。あまりに素晴らしい演奏に、次の日にもノイマン師の演奏を聴こうとスケジュールのチェックに余念の無い私でしたw
写真はこのイヴェント特製のチケット・ホルダーです。複数公演を聴くので、こういうアイテムが重宝します。踊るモーツァルトのイラストが可愛いですね。