新世紀エヴァンゲリオン

1週間かけてTVシリーズ+映画版を全部見ました(疲れまくり)。TVシリーズDVDは2003年にリニューアルされていて、特に終盤は映画DEATH編からの追加カットなども入っているため、TV放映オリジナル版よりわかりやすくなっています。10年前にチンプンカンプンだった人にはこのリニューアル版を推奨します。なお映画版DEATH編は切り貼りリミックスなので、初見としてはおすすめできません(ちなみにTV版を見た後だとスピード感があって非常に気持ちいです)。
さて。TV版ラストは明らかに「制作の余裕ありません!尺も全然足りません!とりあえずテーマ的には決着つけます!ごめんなさい!」ですね。まあいい。一方の映画版ラストは、予想外の大ブームになってしまって、あちこちから持ち上げられることに慣れてない総監督が観客を過剰に恐れた演出に走るという、痛々しい内容でした。特に「まごころを、君に」はもう少し客観的なものが見たかったです。まあでも、TV編(弐十四話まで)も一見すると客観的なようでいて、実はとことん主観的な演出で固められているのですが*1。あとテーマ的には共感できますが、SF的考証のレベルが全体的に低かったのが痛いです。はいはいそんなのテーマに関係ありませんから*2。それから私としては音楽もイマイチだと思いました。クラシックを使うのは全然驚かなかったけれど、選曲が通俗的で安っぽいし、場面とミスマッチなのがつらいところ。「エヴァンゲリオン」なんてタイトルをつけてるのだからマタイ受難曲などから引用しても良かったのではないかと思っております*3
全体として時代性を色濃く反映した作品なので、いま見ると古くさいものがいっぱいすぎて、それをガマンしつつ正視するのは最初のうちは辛いものがありました(すぐ慣れましたが)。まあでも、言っちゃ悪いけど、ガンダム(最初のやつ)とイデオンをごちゃ混ぜにした作品を、近未来の日本を舞台に描こうってのは無理があります*4。結論としては、アニメ史を知ってる人間が俯瞰的に見た場合、80年代ロボットアニメの総括以外の何物でもない作品だと思います。

*1:モブ(群集)、第三者の描写が異様に少ないのがその典型

*2:エヴァの明確な大きさすら決まってないという事実。この作品、テーマから遠い事象に関しては非常に扱いが冷たいです。そこを突っ込んでいくのは野暮ということですね。

*3:ある程度は狙ってミスマッチにしているようです。でもKomm,susser Todとか雰囲気ブチ壊しもいいところ。歌詞はしっかり受難ですがアレンジがいけません。

*4:ジオフロントがあるからとはいえ、キリスト教原理主義的カルトがずいぶんと日本贔屓なところに強い違和感が残りました。それにいくら狂ったカルト集団でも14歳の日本人のガキに人類の未来を託すことはないだろう、とか。もっともイデオン胎児に未来を託したけどな。