新世紀エヴァンゲリオン解説その1:キャラ紹介&前提知識

とりあえず簡易版です。そのうち詳しいやつを作ろうと思います。これだけ知って見るだけでも相当に理解しやすくなるでしょう。

主要登場人物
  • 碇シンジ:とりあえず主人公。物心が付いた頃に母親がエヴァ起動実験中にエヴァに取り込まれて消滅し、父親には放置され育ったので、ありていに言えば愛に飢えています。でも、それを素直に表現できない。
  • 碇ゲンドウ:シンジの父であり、ユイの夫。ユイに取り入って婿養子になり、世襲的にゼーレに入るまでは冷静な野心家でした。しかしレイがエヴァに取り込まれたことで暴走します。もともとシンジ君がそのまま大きくなったような破綻した性格だったのですが、野望が優先事項になっているのでなかなか表面化しません。ストーリー上、消えてしまったユイに執着するストーカーとして描かれます。
  • 碇ユイ:ゼーレ有力者の娘。エヴァ製作にかかわり、自ら進んでエヴァに取り込まれた人。旦那に利用されたように見せかけつつ、実は自分が旦那を利用するという狡猾さは特筆されます。息子も旦那も放置して自らの欲望(永遠に生きたい)に走った困ったちゃん。放置された二人の人格破綻っぷりがすごすぎ。諸悪の根源といっても良いのですが、本人が限りなく天然ボケっぽいので仕方ない。
  • アスカ:やはり母親がエヴァに取り込まれて廃人化したことがトラウマに。シンジとは逆で、私はひとりでも大丈夫!と思い込み、そのために努力してきたことを拠り所にしている強がりさん。
  • 加持リョウジ:登場人物の中で唯一まともな大人の男性です。ゼーレとネルフと日本政府の間をウロチョロするスパイみたいな仕事をしており、視聴者に物語の確信を教えてくれる役どころになる。いちいち台詞がかっこいい。声は「おっはー」の山ちゃんだけど。
  • 他のキャラ:わりとステレオタイプに描いてくれるので、見てればわかるはずです。レイとカヲル君は厳密にいうと人間じゃないので人外の部で解説します。
主要登場人外
  • アダム:第一使徒。小惑星に埋め込まれたカプセル(白き月)にのって、銀河の彼方からはるばる地球にやってきたのに、数十億年にわたって南極の地下に埋没してしまった不運な神様。セカンドインパクトで四散したが、細胞片が回収され復元されている。第三使徒〜第十七使徒の源にもなりました。
  • リリス:第二使徒。アダムと同じ小惑星に埋め込まれた別のカプセル(黒き月)にのって地球にやってきました。ヒト=第十八使徒の源になってます(というか、地球上の全生命の源なのよ)。しかしネルフ本部の地下に磔された上にLCL製造工場扱いされるなど、生命の源とは思えないひどい仕打ちを受けています。
  • 使徒:アダムまたはリリスから進化した生命体のこと。身体(DNA)・コア(自我)・魂(記憶)がセットになってはじめて使徒と呼ばれます。アダム由来の使徒にはS2機関が存在している=永遠の生命を持った単体(生殖もできない)。リリス由来の使徒は限られた寿命で生殖によって命をつなぐ群体。アダム由来の使徒とリリス由来の使徒は、共存できないようにプログラムされてます。誰がプログラムしたのかストーリー中では語られません。そういうもんだ、と思ってください。なので、第三使徒〜第十七使徒を排除しない限り、リリス由来の使徒である人類に未来はありません。
  • 綾波レイリリスにユイの遺伝子を融合させて製造した人造人間に、リリスの魂を封じ込めたクローン。リリス系列の使徒、すなわち肉体的にはヒトなので「人外」に入れるのはどうかと思ったのですが、物語終盤の行動が人外そのものなのでめでたくここに参列。
  • 渚カヲル:アダムにユイの遺伝子を融合させて製造した人造人間に、アダムの魂を封じ込めたクローン。アダム系列の使徒です(だからヒトとは敵対する)。
  • リリン:カヲル君の用語で人類のこと。もっと具体的には「罪深い人類」という意味。カヲル君は「人間・ヒト」と「リリン」と使い分けているので要注意。
  • エヴァ:アダムまたはリリスをコピーして作った汎用人型戦闘兵器。使徒の源から作ってるから、とっても強い。でもコピーには魂がないので、誰かがイケニエになって魂を注入する必要があります。操縦者はイケニエになった魂とチャネリングする必要があるので、必然的に母親とその子供という関係になってしまいます。これだと効率が悪いし、パイロットに汎用性を持たせたいってことで作られたのがダミーシステムです。
  • ダミー:エヴァとシンクロできる人造人間体のこと。当然アダム、またはリリスをもとに作ります。魂をデータ化して保存したものを入れてあるのでヒトの真似事くらいはできるのですが、人格は存在しません。人形みたいなもんです。
  • リリス=レイ:巨大綾波リリス綾波レイが融合したもの、すなわち魂と実体が融合したリリス。ついでにアダムまで融合していたりする。物語終盤で大暴れする。
エヴァ専門用語
  • LCL:羊水のこと。エヴァ操縦席に注入されているのはリリスの体液と思われます。(だからリリスはLCL生産工場扱いなの)
  • S2機関:スーパー・ソレノイド機関のこと。「エスツー」って読むのはダサい。エスエス、もしくはエス・スクエアが正しいと思われます。要はアダム系列の使徒の活動エネルギー源です。ゼーレ用語だと「生命の実」。永久機関とされていますから無限エネルギーです。(イデオンっぽい部分ですね)
  • 黒き月:日本のジオフロントのこと。リリスが入っているカプセルです。
  • 白き月:南極のジオフロントのこと。アダムが入っていたカプセルです。セカンドインパクトで四散したので「ガフの部屋はからっぽになってしまった」(byリツコ)
  • ガフの部屋:物理的には黒き月と白き月、2つジオフロントのことを指しますが、ガフの部屋と呼称した場合は使徒に宿る魂が集積される空間を意味します。
  • サルベージ:引き揚げ作業のこと。何を引き揚げるのかというと、四散してしまった使徒の魂を引き揚げるのです。引き揚げた魂をダミークローンに入れば使徒のいっちょあがり、というぐあいです。
  • ダミーシステム:ダミーの製造施設。サルベージした魂をデジタル化(データ化)して保存したものをダミークローンに入れたものがダミーです。デジタル化した魂は完全なコピーでないので、ダミー体はその名の通りただのダミーです。
  • ゼーレ:キリスト教系のカルト団体。とってもお金持ちで、政界にも口出ししまくり。人類は緩慢な滅亡へと進む道にあると思い込み、これ回避するために一気に進化させようとしてメチャクチャな計画を実行する困った集団です。
  • セカンドインパクト:南極に眠っていたアダムが覚醒してアダム由来の使徒が一気に発生するのを抑えようとした結果、アダムが四散して莫大なエネルギーが解放されてしまった事件のこと。
  • 人類補完計画・ゼーレ版:禁断の果実を手に入れた人類は罪を背負った。すなわち禁断の果実を手に入れた結果、他者認識をするようになった(原罪)。それからというもの、人類は群体としてチマチマと進化をつづけ、いまや緩慢な滅びの道を歩んでいる。今こそ人類は贖罪をし、生命の源たる黒き月へと帰還して生まれ変わるべきである。贖罪とは、他者認識をやめることである。それは他者と合一することであり、群体ではなく単体として新たな生命体に生まれ変わることである。…キリスト教的な原罪思想から出発して集団自殺志向に至るという、典型的なカルトです。
  • 人類補完計画・ゲンドウ版:僕を含めてみんなが融合したらエヴァに消えちゃったユイとも一体になれるはず!ワクワク!…ほとんど子供です。
  • ATフィールド:使徒が持ってる強力なバリヤー。使徒はみんな持ってるので、人間にも存在する(心の壁として)。アダム系列の使徒は物理的なバリヤーを展開でき、エヴァはこれを中和することで使徒にダメージを与えて殲滅します。
  • 戦略自衛隊:「戦自(せんじ)」という略称で呼ばれるので何のことかわかりにくいですが、要するに日本の自衛隊のこと。対使徒戦では悲しいほど役に立たず、税金の無駄遣いと馬鹿にされまくります。しかし、対人戦では非常に強いです。
まとめ
  • 非常に重要なことですが、ネルフ地下ターミナルドグマにいる使徒は、最初からリリスです。序盤でゲンドウが「ここの地下にはアダムがいる」という主旨のことを言っていますが、これはニセ情報です。ターミナルドグマに潜入した加持とミサトがリリスをアダムと勘違いしたのは、このニセ情報に乗ってしまったためです。アダムはセカンドインパクトの時に四散し、その身体は細胞片として回収されるにとどまりました。このことを認識しているネルフ関係者はゲンドウとリツコ、それに冬月先生だけだと思われます。
  • 加持は復元した胎児状アダムのサンプルを持ち帰ってゲンドウに渡していることから、リリスとアダムを見間違えるはずはなさそうなものです。しかし、あの場面では見間違えてしまったのです。
  • ターミナルドグマの使徒がアダムではなくリリスだったということは、弐十四話のカヲル君の台詞「違う!これはリリス!」まで待たなければなりません。こういう仕掛けがエヴァをわかりにくくする要因になります。あの物体が最初からリリスであるとわかって観るのと、アダムと勘違いしているのでは、ストーリーの理解に大きな差がでます。すなわち、使徒はアダムに回帰するためにネルフ本部を目指しているのではなく、ただ何となく自分の親戚みたいなものがいるからやってくるのです。そして、対象がアダムであればおそらく回帰するはずですし(一人は寂しいから)、リリスであれば殲滅しようとするはずです(共存できないから)。母親への回帰と他者の排斥って、これエヴァのテーマそのものです。
  • もうおわかりのように、ネルフ本部が使徒に攻撃される理由は、アダムかリリスかわかんない物体に近づくためにとりあえず邪魔なものを排除しているだけなのです。邪魔者の排除、これが使徒の攻撃理由のすべてです。
  • 今回の情報を読んで「エヴァって人が作った使徒なんじゃないの?」と気づいた人は鋭いです。使徒を倒すために、人間がコントロールできる使徒を作らなければならなかったんです。「毒をもって毒を制す」(byキール議長)。実際にはあまりコントロールできてませんでしたけどね〜。なおエヴァにはもう一つの役割(サードインパクトで贖罪の儀式を行う12使徒になる)があります。ゼーレ的には後者の方が重要で、だからこそいっしょうけんめい量産型エヴァシリーズを製造しました。この件についてはいずれ書きます。
  • 今回はちょっとエヴァの物語のテーマについて書いてしまいましたが、妙に説教臭くなるので今後は極力控えようと思います(笑)。