新世紀エヴァンゲリオン解説その2:ストーリー概略の巻

本当はもっと短くしたいのですが最終回はとても情報量が多いので、これ以上省略できませんでした。

西暦2000年

セカンドインパクト南極大陸の氷が全部溶けて海水面上昇、地軸変動、阿鼻叫喚、地獄絵図、戦々恐々、天変地異のてんこもり。世界人口は半分に減ってしまいました。日本も常夏です。

使徒、襲来。そして…

西暦2014年、ようやく復興を始めた日本にどこからともなく第三使徒がやってきたました。使徒は無敵のATフィールドを持ってるから、戦略自衛隊の武器は全然役に立ちません。使徒迎撃戦隊ネルフ*1の指令・碇ゲンドウは息子シンジを呼びつけて、エヴァ初号機に乗せました。シンジ君は2歩ほど歩いてズッコケた以外は何もしなかったのですがエヴァが勝手に動いて使徒を殲滅してくれました。めでたしめでたし。*2この後、使徒がくる→殲滅を数回くりかえします。

アスカ来日

お約束の転校生、セカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレーエヴァ弐号機とともにお船でやってきました。ここでお供にひっついてきた加持リョウジが曲者でした。なぜって、この人は第一使徒アダムのサンプルをこっそり持ち出してきちゃったから。アダムにさそわれて使徒までやってきてしまって大騒ぎ。でもエヴァ弐号機の活躍でこれを殲滅しました。この後さらに、使徒がくる→殲滅を数回くりかえします。アスカのキャラもあってちょっと明るい話が続きます。

四人目の適格者

なんか上手い具合にフォースチルドレン=トウジがみつかったので、こいつを乗せて新しいエヴァの起動実験しようとしたら使徒に乗っ取られてさあ大変。結局、ダミープラグをつかった初号機がフォースチルドレンもろとも殲滅する羽目になりました。もちろんシンジ君は大ショックで、もうエヴァに乗らないとか大騒ぎ。*3

エヴァ覚醒

ジオフロントに侵入した使徒との戦闘中に、とうとうエヴァ初号機が覚醒。使徒を喰ってS2機関を取り込んでしまいました。*4そして残りの使徒が少なくなってきたことを把握した人たちは、それぞれ自分の理想とするサードインパクトを起こそうとします。つまりゲンドウは自らアダムと融合し、ゼーレはエヴァ量産機の生産に入ります

ネルフ誕生

いままであまりにも説明不足だったので、ここで1話まるごと使って状況説明をしてあげてもよくってよ、ついでに加持さんさようなら、という回です。*5

環状二本鎖DNAっぽい使徒との戦闘中で零号機が自爆します。綾波レイ(二人目)が死亡するも、直後に三人目が起動。実はクローン体であることが判明します。しかもダミーシステムのために大量のクローン(量産型綾波レイが製造されていることも判明します。

最後のシ者

ゼーレは理想とするサードインパクトを起こしにくい状況になってしまったので*6、このままだとゲンドウの計画通りにサードインパクトが起きてしまうと危機感をつのらせます。そこで計画を修正するために、ゼーレ自ら人間タイプの使徒を製造してネルフに送り込みます。この使徒は初号機パイロットを誘惑・懐柔したのち、シンジ君自身によって殺されることが使命でした。*7ゼーレの仕組みは成功し、シンジ君は重度の鬱状態に突入しました。量産機も完成し、いよいよゼーレ主導でサードインパクトを起こすための準備が整いました。

Air

使徒をすべて殲滅したため、ゼーレにとってネルフは不要となりました。そこでゼーレは日本政府に「ネルフってのは人類補完計画=人類抹殺計画を実行するための組織なんだよ。だから殲滅しないとヤバイよ」というニセ情報を吹き込みます。これに乗せられた政府は戦略自衛隊を展開し、ネルフ本部の直接占拠に乗り出します。戦争だー。ところが爆雷攻撃にさらされる弐号機の中で自己防衛本能全開になったアスカ&弐号機が覚醒し、戦略自衛隊はボロボロに。頃合もよかったので、ゼーレはエヴァ量産機を出撃させ、弐号機に逆襲します。シンジ君はすったもんだのあげく初号機に乗るのですが、ボロボロになった弐号機を見て発狂、ではなく絶叫します。うわぁぁぁぁああああああああああああああくぁwせdrftgyふじこlp;。

まごころを、君に

そのころジオフロントの最深部では、まさにゲンドウがレイと融合しようとしてました。しかしレイはそれを拒絶。ゲンドウの右腕とともにアダムを奪い取り、リリスと融合して巨大化します。一方、地上というかお空の上ではエヴァシリーズが初号機を磔にして、ロンギヌスの槍を融合させることによって生命の木を構築します。この時点でシンジ君が「もうやだみんなやだなんにもしたくない」みたいな感じの負のエネルギー全開状態にあり、それに共鳴したリリス=レイ&エヴァシリーズ*8わたしに帰りなさい波動を出しまくった結果、全地球規模でアンチATフィールドが展開されて、すべての生命体はあっというまにLCLに還元します。俗にいうあぼーんってやつです。こうして搾り取られた魂とLCLはリリス=レイによって黒き月に集められます。ついに生命は黒き月へと帰還しました。ゼーレのシナリオではここでめでたしめでたし、となるはずです。しかしこの先、シンジ君は集めたLCLの成り行きを決めなければならないのです。*9ここでも、シンジ君は葛藤します。ぐるぐるいろいろ考えたあげく、ふと我に返ったシンジ君はすでにリリス=レイと一体化を始めていました。しかし、これを優しく拒絶します。他人に拒絶されるのは辛いけれども、合一したら自分がいなくなっちゃう。拒絶こそが他者認識の基本であることを理解したのです。だから、他者のいる世界を願います。
その瞬間、黒き月が崩壊し、魂とともにLCLは地球へと還っていきます。リリスとアダムが融合していたリリス=レイはATフィールドを失い、こちらも崩壊していきます。LCLの中で癒されたシンジ君は、エヴァ初号機=ユイの魂に「もうバイバイね」と別れを告げます。この時点でエヴァ初号機はあらゆる意味で役目を終えました(使徒を倒すこと、サードインパクトのよりしろとなること、母としての役割をまっとうすること)。あとはユイの望みのとおり、宇宙の彼方へと永遠の旅に旅立っていきます。一方地上では崩壊した巨大リリス=レイからLCLはどんどん流れ出します。戻りたいと願った人は、おそらくもとに戻れるでしょう。真っ先に戻ったのがシンジ君と、どこまでもシンジ君を拒絶したアスカだった、というのはずいぶん皮肉な話ですけどね。おしまい。

*1:微妙に違う気もしますが、とりあえずOK。

*2:人型ロボットアニメのお約束です。勝ったのはパイロットの腕ではなくロボットの性能のおかげってやつ。エヴァはロボットじゃないよ、という描写もありますけどね。血しぶきピシャー!とか。

*3:こんなことが重なったら、25話において「もうなにもしたくない」「死にたい」とか言い出すのも無理のない話です。

*4:これで初号機は外部動力源がなくても無限に活動できるようになりました。すなわち、永遠の生命を手に入れたことと等価です。初号機=ユイが覚醒し永遠の生命まで獲得したのでゲンドウさんは大喜びです。らららん。

*5:この話についてはいずれ詳しく解説します。ストーリーと設定の理解の上で非常に重要です。

*6:零号機のロスト、初号機がS2機関取り込み、ロンギヌスの槍の喪失、アダムの強奪などなど

*7:シンジは女には壁を作るけれど男には壁を作らないってことをゼーレに読まれてます。

*8:エヴァシリーズはリリスに共鳴している。シンジ→初号機→リリスエヴァシリーズという具合に負のエネルギーが連鎖しています。

*9:ここはシンジ=神事ということがわかるシーンです。シンジ君は新たな生命体の行き先を決める創造主になっているんです。これが新世紀=創世記を具体的に表現したシーンになります。