エヴァンゲリオン解説その10:人類補完計画まとめの巻

エヴァンゲリオンにおいて、人類補完計画はゲンドウ、ゼーレ、そしてユイが描いたシナリオを元に進んでいきます。E計画もこれに連動していますので、エヴァンゲリオンのストーリー概略はゼーレとゲンドウとエヴァ初号機を追えば概ね俯瞰することができます。しかしエヴァンゲリオンの描写の中心はシンジ・レイ・アスカのエヴァパイロット+ミサトたちなんですよね。彼らは終盤までゲンドウとゼーレの手のひらで踊らされてるようなものなので、一生懸命追ってもストーリーの全体像はなかなか見えません。注意しましょう。

三者三様の人類補完計画
  • ユイ:自分自身がヒトという生命体がいた証となって、永遠に生き続けたい。たとえ地球や太陽がこの宇宙から消えた後も、ひとりきりでどんなにさびしくても、そしてヒトの形を失ったとしても。(永遠の生命が目的
  • ゲンドウ:人々の、そして何より自分自身の欠けた心を埋めるために、すべての生命と一体化したい。(心のさびしさの補完が目的
  • ゼーレ:偽りの生命として図らずも地球上に繁栄してしまった罪深き人類は、その全滅をもって贖罪し、神の子として生まれ変わらなければならない。(贖罪と神の子への生まれ変わりが目的
ストーリー・ダイジェスト(1)
  • 2000年:アダムコピーの作成。渚カヲルの誕生。セカンドインパクト。予想される使徒に対して、エヴァンゲリオンで対抗する計画が始まる。*1
  • 2004年:碇ユイエヴァ初号機に取り込まれる。(ユイの補完計画第一段階成功
  • 2015年:使徒、次々と襲来。NERV配下のエヴァが主体となって殲滅していく。
    • ユイ:期待通りエヴァ初号機パイロットになったシンジとコミュニケーションを果たす。のちに覚醒し、使徒からS2機関を獲得する(ユイの補完計画第二段階成功)。
    • ゲンドウ:ロンギヌスの槍を確保し、しばらくリリス制御を行うが後に使徒殲滅のために使用し、回収不能とする。また、NERVドイツ本部(=ゼーレ本拠地)から復元されたアダムサンプルを奪いとり、自身に融合する。この段階ではゼーレ主導のサードインパクトは不可能となり、ゲンドウの勝ち…のはずだった。
    • ゼーレ:使徒対策は基本的にNERVに任せ、人類補完計画の準備を優先する。S2機関搭載失敗など紆余曲折はあったものの、エヴァ量産も目処がついた。この時点で復元アダムとロンギヌスの槍が失われており、当初の計画と大幅にずれてきたため、それを修正するため渚カヲル使者としてNERVに送り込み*2エヴァ初号機パイロットを精神的に追い込む。
ストーリーダイジェスト(2)
  • すべての使徒を殲滅した後の行動は、ゼーレの方が速かった。ゼーレは日本政府を動かしてNERV本部を急襲。対人ゲリラ戦に無力なNERVは崩壊を避けられなかった。このことを認識したゲンドウはレイとの融合を目指すが、拒絶される。(ゲンドウの補完計画失敗
  • ゼーレはエヴァ量産機を投入し、エヴァ初号機をよりしろとしたサードインパクトを起こす。初号機パイロットのデストルドーによってロンギヌスの槍が呼び戻され、アンチATフィールドが拡大する。(ゼーレの補完計画第一段階成功
  • リリス=レイは初号機パイロットに共鳴し、アンチATフィールドによってLCL化した全世界の人々の魂とLCLを黒き月へ集中させる。(ゼーレの補完計画第二段階成功
  • サードインパクトの中心にあった碇シンジは黒き月に集中したLCLを元に戻すこととする(ゼーレの補完計画は最終段階で失敗)。
  • リリス=レイと融合した初号機は、必要な遺伝子だけ取り込んで再び分離。拘束具を解き放って宇宙の彼方へと旅立つ(ユイの補完計画は完遂)。
  • 黒き月とともにリリス=レイは崩壊。LCLの海からシンジ、アスカが帰還する。
  • おわり

*1:使徒はゲンドウにとってもゼーレにとっても邪魔という点で利害が一致しています

*2:この段階でゼーレとゲンドウは決裂しています。ゲンドウも理解しているはずですが、必要なアイテムがすべて手の内にあったため慢心していました。