プログラム
ロストロポーヴィチの登場するショスタコ祭りということで、気合いを入れてすみだトリフォニーホールに行きました。まずはピアノ協奏曲から。上原彩子さんは初めて聴いたのですが、噂どおりのロシア人仕込みバリバリ系ピアニストで、鮮やかに弾ききってくれました。奏法や音色はまるっきりキーシンの女性版という感じです。キーシンほど張り詰めた音色でないのが逆に聴きやすいかもしれません。なかなか難しい曲だと思うのですが、完全に自分の音楽として消化していたのは本当に見事。上原さんのピアノの強弱差が大きかったのでロストロの伴奏もデュナーミクの振幅が大きくなっていて、躍動感がありました。
後半の交響曲第8番はとにかく圧巻。コントラバスの音圧が低く迫力不足という感もあったのですが*1、金管木管や打楽器にエキストラまで投入してビシッと締まったアンサンブルを展開しました。第一楽章からすごくて、全合奏強奏のところは本当に阿鼻叫喚の地獄絵図そのものの、背筋が寒くなるような恐ろしさです。やはり痛みや恐怖のリアリティが違います。2〜3楽章はノリノリでブチ切れてるし、4楽章はリアル念仏だし。フィナーレは木管陣(ソロが多い)の集中力が非常に高く、充実しておりました。新日フィルもやればできるじゃん、と思ったのですが、基本的には指揮者の力という感じです。やはりロストロすごすぎ。この人が振ると、どんなオケでもロストロの音色になってしまうというあたりからして、ただものではありません。
*1:先週聴いたサンクトペテルブルク・フィルのコントラバスがすごすぎた。