アーノンクールのモツレク(1981年)の巻

1981年11月、ウィーンのムジークフェライン大ホールにおけるCMWの演奏会の模様がDVDで発売されました。曲目は以下のとおり。

バッハのカンタータエヴァンゲリオン劇場版(巨大綾波)のテーマのモチーフになった曲ですが、演奏内容はアーノンクールにしてはおとなしい。ソリストのメゾのおばちゃんがすごい良い声で歌います。
モツレクはどうしても昨年聴いた生演奏と比較してしまうので、未熟というか、発展途上感がありありと伝わってきます。25年も昔なのに基本的な解釈がほとんど変わっていないところは脱帽するしかありません。ただディテールの造形がおおざっぱで、詰めの甘さが目立ちます。あと近年のアーノンクールは丸くなったという人もいますが、このDVD見ればわかるようにむしろ近年の方がより音楽の振幅が大きく、ドラマティックになっています。指揮をする姿もいっそう恐ろしさが増していますし(笑)。変わったところは、そういう劇的な表現が単なるオドカシに終わらず説得力を持たせるために、激しくない部分の演奏表現を掘り下げているところです。
この演奏会はウィーン国立歌劇場合唱団からのオファーで実現したようですが、残念なことにその合唱がよくありません。そもそも宗教曲で要求される発声法で歌っていないと思います。画質も音質も悪いですし、ファン以外は見送ってよいDVDだと思います。