「子供の情景」つづきの巻

おねだり

どちらの手で内声を取るか、弾きはじめる前に吟味してから取り組むべきではないかと思います。それなりに実力のある人なら初見でも左右で適当に取りながら弾けると思うんですが、同じパターンのところは左右を同じ配分にした方がよいので。あと属七で終わる浮遊感を演出するには、最後の一節を十分にリタルダンドすることが大切です。

十分に幸せ

ここで初めてフーガっぽい追っかけフレーズが出るので、各フレーズのアインザッツ(歌い始めの部分)をはっきりさせて、メリハリのある表現をこころがけます。1つ1つのフレーズのまとまりをわかりやすくするためには、スラーの終わりをすっきり切って弾くこと。また、フレーズの終わりではペダルもしっかり上げて余韻を消すことがとても大事です。

重大な出来事

フーガで横の線の絡み合いを演出した直後に和音をたたみかける曲。対比を意識しています。全編フォルテなのですが、アーティキュレーションをつける中でデュナーミクの変化も生じることをしっかり念頭において表現しないといけません。ほとんどスラーがついていない理由は、第2曲と同じアーティキュレーションで弾くことが自明なため。シューマンはこういう意地悪をするので、楽譜に演奏指示が書かれていないからといって同じ調子でダラダラ弾かないように。

トロイメライ

地味に難曲です。それと10度が多いんです。届く人はできるかぎり楽譜に書かれたとおりに弾きましょう。最後の方のフェルマータの付いた音はアルペジョにしても問題ないですが、それ以外を左右の音符の配分を変えるとかすると微妙に雰囲気が違ってしまうので、細心の注意を払ってください。あとペダルもすごく重要。初心者の人の演奏をよく聴きますが、内声がうるさい人が多いです。しっかりタッチをコントロールして、旋律以外の音がでしゃばりすぎないように、とにかくデリカシーの権化のような気遣いで弾きましょう。