プレトニョフのベートーヴェン ピアノ協奏曲2&4番の巻

いよいよ第二弾が登場しました。相変わらずオケもキレキレ、攻めまくりのものすごい演奏です。一瞬一瞬が美意識の権化みたいな音色ですが、もう少し引いて聴くと動機の特徴づけや、ピアノとオケの呼応が非常に丁寧に、しかし粘着質にならないように歯切れよく表現されていて稀に見る名演になっていると思います。
第2番は優美にまとめていて、これはまあ予想の範疇。めちゃくちゃ高速で始まる第4番が凄まじい。そもそもこの曲の演奏が「凄まじい」と評されるような状況になること自体が異常です。何がすごいかというと、オケの皆さんもプレトニョフと同じことをやっているところがすごい。たぶん小編成。さまざまな対旋律、ピアノがやったことをすぐ模倣するオケ、グチャグチャになりがちなチェロとコントラバスの高速パッセージ、などなど今まで聴いたあらゆる演奏で聞こえなかったものがクリアに、そして有機的な関連性をもったフレーズとして聞こえてくるのです。プレトニョフのピアノよりオケの統率力に驚いてしまいました。これは指揮者になるのも無理の無い話です。