セヴン&ザ・ラグド・タイガーのリマスタリング盤を入手したので久しぶりに聞いてみました*1。メロディや歌詞は覚えていたのですがコード進行は綺麗さっぱり忘れている曲もあって、なんというか、えげつないほど強引な転調っぷりに驚いてしまいました。メンバー全員の楽器演奏が上手くないので単純なコードしか使えないのですが、旋律の経過音やコーラス*2に強烈なノートをバンバン入れて、それをキッカケに転調してしまいます。きっとこいつら楽典も何も知らないでやってますね。あと気づいたことを列挙しておきます。とりあえず、そのうち「いいおさら」としてまとめるかもしれません。
- 全体としては、とにかく未熟。ヘンな熱気が感じられるのはひたすらプロデューサのアレックス・サドキンのおかげ。
- メロディやヘンなコード進行はともかくとして、リズムのバリエーションが少なく、結果として同じようなイメージの曲が続く印象がある。特にドラム。ドッパンドッドパン、しか叩けない。申し訳ないが、早々にクビになったのも頷ける内容かと。
- ギタリストの存在意義がほぼ皆無で、これではアンディ君のフラストレーション溜まりまくるのは無理もない。
- 誰ひとりとしてうまい人がいないというすごいバンドですが、サイモンのリズムの悪さは特筆される。半拍近く早く歌い出したり、刻みが不安定になったり。普通だったらOKテイクにならないような質の低いボーカルのトラックもあり、レコーディングのスケジュールに余裕がなかったことをうかがわせます。
- 上記のような欠点をアーケイディア&パワー・ステーションとノトーリアスでキッチリ補強してきたところは偉いと思いました。(もちろんプロデューサのおかげですが。)
- このアルバムを傑作視する人がけっこういるようですが、いくら青春の思い出だからといって美化しすぎてはいけません。稚拙なものは稚拙。曲だってシングルカット以外は出来合いっぽい感じが濃厚です。
- ラルク・アン・シエルが出てきたときに「ずいぶん下手クソな日本版デュラン・デュラン&ジャパンだなあ」とか思ったのですが、実は本家が十分すぎるほど問題ありありだったという。
- ここまでしつこくヘタクソ連呼される内容にもかかわらず、セールス的には本当にすごかったし、大好きでした。何が我々の心をそこまでとらえたのか、いまだによくわかりませんが、十代の終わりにYMO/BGMやJapan/Tin Drumといったアルバムと共に超ヘビーローテーションとなっていたことは事実です。