いつか氏について論評しようと思っていたのにこんなことになってしまって(汗)。昔から借金の多い人ということで業界的には有名だったのですが*1、それだけお金を貸してくれる人がいたということでもあります。氏を食い物にしていた銀行屋さんたちは、いま何をしているんでしょうね〜。私にも借金がありますが、反面教師として返済に勤しもうと改めて身の引き締まる思いがしたのでした。ウエストはちっとも引き締まってませんけどって大きなお世話じゃ!*2
それにしても、一介のポップミュージシャンに億単位の金を貸すなんて、与信管理的におかしいと思うんですけどね。焦げ付いて不良債権化したら誰が責任取るの?それって背任じゃないの?みたいな。もちろん不動産とか担保があれば与信も通るんでしょうけど。銀行屋さんはミュージシャンじゃなくて実業家、というかぶっちゃけ金のなる木にしか見てなかったんでしょうね。
TKさんの状況を追っていくと、TMの「Carol」「Dress」で湯水のようにお金を使っていたのはまだ序の口で、初ソロアルバムで共同購入したシンクラヴィアあたりから赤字続きな模様*3。とはいうものの、このあたりは音楽製作のためにお金を使っていたから全然マシです。そうこうしていくうちにバブルが崩壊し、世の中が急速にダウンサイジングしていく中でTK氏は超売れっ子になっていきます。仕事量はガンガン増えましたが、朋ちゃんと別れる前後あたりから音楽がおかしくなっていきました。*4また、TMではミリオンは無理だからミリオンを出せるアーティストをプロデュースする、とことんセールスにこだわるTK氏を見て、これは本末転倒だと思ってフォローするのをやめました*5。
決定打は、実はヴィジュアル・バンドのブームです。かつてならTMを聴いてくれたであろう若いリスナーがごっそりとラルク・アン・シエルに移行。あんな売れそうにないバンド*6が売れちゃったことを目の当たりにして、さすがにTKさんも「あ、流れが変わった」と読んだらしいのですが、その流れに乗れませんでした。佐久間さんも小林さんも、GLAYやミスチルのプロデュースでウハウハなのに…。弟子の浅倉さんも打ち込み+ヴィジュアルというコンセプトで着実にヒットです。…いや、別に流れに乗らなくても良いんですよ。100万人には届かないけど、30万人くらいならどこまでもTKさんに着いていくという人がいるんです。そういう人たちを大切にしないとダメなのよ。この点、90年代の坂本龍一はセルフ・プロデュースが上手かったと思います。*7その後の坂本さんがおかしくなったのは他人の影響ですが、TKさんが崩れていったのは誰のせいなんでしょう。彼自身の責任なのかしら。そうとはばかり言えないと思うのですが。