内田光子のシューマン観の巻

http://www.youtube.com/watch?v=u1vYu56xY9w&feature=related
来月、久々の内田さんのリサイタルが日本であるので、予習を兼ねていろいろと探していますが、まずはベルリンフィルシューマンのピアノ協奏曲を弾いたときのインタビューから。例によってものすごい勢いで喋りまくってます。ドイツ語なまりの英語なのですごく聞き取りやすい(笑)。毎度のことですが異様にテンションが高くて、しかも印象に残る言葉をビジバシ飛ばしまくりやがって、ちょっと感激してしまったのでいくつか抜粋するわね*1

  • 私は長い間「どうしてシューマンってこんなにも難しいのかしら」って疑問に思っていたの。
  • クララ、C-La-La。(シューマンのピアノ協奏曲第一楽章の主題をピアノで弾く)クラ〜ラ〜♪クラ〜ラ〜♪めちゃくちゃ良い声で歌う。この人、ボイストレーニングもしてるんじゃん(笑)。
  • バッハは人前では弾かないの。ジャケットの内側に隠してるの。こんな風にして。
  • モーツァルトベートーヴェンショパンも優れたピアニストだったけど、シューマンはそうではなかった。
  • その代わりってわけじゃないけど、クララは非常に優れたピアニストだった。
  • レコーディングと生演奏は全然違うの。コンサートホールでさあ弾きはじめるわよ、というときのあの静寂!

http://www.youtube.com/watch?v=TOKcktvmk5o&fmt=18
演奏はこっち。なにこの超絶名演。いろんなものがピアノからはじけて飛んでくる。50秒からの天上のトリル*2の美しさ*3、1分23秒からのパッセージの弾き方が素晴らしすぎて言葉を失う。この楽章は、楽譜上はただの16分音符の羅列が続くのですが、そこからクララへの愛に満ちたファンタジーが発露されると、こういう演奏になります。しかし楽譜の読みが深いです。およそほかの人が弾かない弾き方なんだけど、強調したい音としないでよい音の選別眼が図抜けている。これ、生で聴いたら私は泣いてしまうと思う。こんな風に弾いてもらえるシューマンは幸せ者だと思います。

提言

NHKでもどこでもいいけど、宮崎駿の番組のように1年間くらい内田光子に貼り付いて、ありとあらゆる発言を記録して公開すべき。

*1:なぜかオネエ

*2:内田のトリルはほかのピアニストにない世界一の技術だと思います。

*3:直後に映るラトルが「うひゃ〜!もうたまんねえよ!」って顔で感激してる。