ヴォロドスのダンテの巻

ダイエットに不自由な人があまり好きでないということと、テクニック至上主義のピアノバカどもがあまりに持ち上げるのがワザとらしくて、積極的に聴くことを避けていたのですが、NHKで放映していたのを見て改めて感心したのでメモ。
第一印象としては、楽曲把握力・構成力が突出している感じ。その上で表現しているので、ロシア系のピアニストにありがちな「ディテールばかりにこだわって流れを見失う」みたいなことがありません。
ダンテは盛大に編曲(というか、パッセージの改変ですね)をしていて、しかもそれがどれも音楽的な理に適っていて、わかりにくいこの曲の見通しをすっきりさせることに貢献しているあたりは、すばらしい。特に、半音のぶつかりを多用したパッセージの響きがとてもリストらしい上に、半音階が主題になっているこの曲のコンセプトにもぴったりで、リスト先生が聴いたら誉めてくれるんではないでしょうか。というか、ロ短調ソナタを完成させたあとのリスト先生が、ダンテに手を入れて直したらこうなるかも?という印象です。
あと、解説者がダンテについて「技術的に難曲」って言ってましたが、技術面で言ったらその前に弾いていたラヴェルのワルツの方がずっとずっと難しいってば(笑)。