キーシンのモーツァルト・ピアノ協奏曲の巻

面倒なのでジャケ写真なし。弾き振りで、とにかく非常に丁寧。しかしゴチャゴチャ細かいこと考えすぎという感じ。キーシンの特徴である粒立ちのよい音色での思い切ったフレージングがあまりなく、かなり欲求不満になること請け合いです。1つ1つのパッセージにやたらと細かなニュアンスがつきまくっていて、「なんだこの内田光子もどきは?」と真剣に心配してしまいました。
20番と27番が収録されていますが、20番の演奏解釈は、疑問が残ります。非常に演奏の質が高いので、純粋に演奏解釈上の問題だけが浮かび上がってくる感じ。最初からテンポが遅くてびっくりするし、弱音でネチネチうたったり、妙なアゴーギクアーティキュレーションを駆使したり、ロシアのピアニストがよくやる小手先の技術の博覧会と言う感じで、ほとんど頭を抱えてしまいました。どうするんだ、こいつ。27番は割と素直に弾いていて良かったです。
ぶっちゃけ、なんでいまこの2曲を録音して発売したのか、さっぱりわかりません。本人なりの必然性があったとは思いますが、時期は選べよ、という感じ。