オレイニチャクのショパンピアノ協奏曲がすごすぎの巻

ツィメルマンの弾き振りを超えちゃってるかも。オレイニ(省略)うますぎ。あとオケもうますぎ。シンフォニア・ヴァルソヴィアは典型的な東欧のダメオケなんだけど、このCDは相当に絞られて(笑)いい演奏してます。やればできるじゃん。
オレイニが上手いのは承知のことなのでオケから書くけれど、ショパンが気を遣って書いたであろう対旋律を思い切って押し出してくるのが、すごくいいです。チェロが、フルートが、オーボエが、ピアノに寄り添うように甘く歌う。あとデュナーミクがうまいです。ピアノが弱音で歌ってるときはオケも極力抑えて、合いの手を入れるときにふっと浮かび上がってくるみたいな。最初から最後まで一糸乱れぬアンサンブルなので、リハーサルは死んだと思う。コードがチェンジする時にぐっと弓を深くして<>こういうデュナーミクで押してくるのがいい。オレイニがピアノで同じことやってるのでおそらく「オケもボクみたいに弾いて」ってお願いしたはず。
オレイニは命賭けてるんじゃないの?ってくらいの演奏。ツィメルマンも「いま弾かなかったら私が生きている意味がない!」みたいな入魂の演奏でしたが、オレイニはもっと繊細な方向性で弾いてます。あとこの人ショパンに関する限りはものすごいテクニシャン。他の人が少し間を置くような難しい跳躍や重音の速いパッセージを軽くビシバシ決めるので、躍動感・スピード感がありまくりです。それに上に書いたようなパッセージの抑揚表現が抜群で、<>こういう感じのデュナーミクの変化がとても自然で曲想を盛り上げます。いまのピアニストの大部分はこれ下手で、私はこれができない人の演奏は聴きたくないのです。どんな小さいパッセージも逃さず自然にかつ繊細につけられたデュナーミクを聴くと、オレイニさん命賭けてるなあとしか思えないのですよ。