ミシェル・ディミトリー・カルヴォコレッシ著「正しい音楽の味はひ方」入手の巻

ラヴェルの「ミラージュ、または鏡」でちょこっと紹介したカルヴォコレッシの著作(柿沼太郎訳)を入手しました。戦後すぐに出版されたものなのでわら半紙みたいな紙への活版印刷です。もちろん旧かな遣ひ(笑)。まだちょっとしか読んでないのですが、巻末に「イケメンなら知っておくべき曲(あたしの意訳)」の一覧があって、恐ろしいことに、本当に恐ろしいことに、21世紀でもメチャクチャ通用するリストじゃないのよ!鍵盤楽器とその他みたいな分類で、ピアノ曲とても多いです。ちゃんとバッハ平均律が入っていて、モーツァルトベートーヴェンシューベルトショパンに至っては「こいつらは全員別格だから全部聴けや&弾けやゴルァ」って書いてありますよ。シューベルトベートーヴェンを並べるカルヴォコレッシすげえよ。フランツ君、天国で喜んでるだろうな。君は亡くなった100年後にあこがれの人と並ぶ評価をもらってるんだよ(泣)。あとはプロコ、ラフマニノフショスタコーヴィチは入ってないけどバラキレフ「イスラメイ」は入ってるしパリで大人気だったストラヴィンスキーバレエ音楽は当然入ってますよ。ラヴェルは「ミラージュ、または鏡」「夜のガスパール」が入ってます。水の戯れは入ってません。なかなか厳しい選曲眼です。入手した日本語訳は昭和21年刊行の初版(!)で、装丁がいかしてますよ。戦後すぐなのに、気取ったセンスを失わない日本人に敬意を表しましょう。でもカビ臭くて死にそうなので、週末に虫干ししてから読み始めます。
栃木の古本屋さんにあったのですが、インターネット検索で見つけて注文したら3日で送ってくれました。たったの1050円です。安すぎる!神田の古書店ならこの10倍くらいの値段はしそうです。柿沼太郎先生はたぶん音楽評論家で、一般向け入門書を書いたり、洋書の翻訳をなさってます。古本屋DBで検索すると他にも著書が見つかってアホみたいな安さで買えるので、いろいろ注文してしまいました。なぜかグーグルブックスで表紙写真が見れて、どれも装丁がおしゃれ。「音楽と文学」なんて本も翻訳してるし。くそう、俺が勉強してきたことは柿沼先生が昭和20年代に終わらせた仕事じゃねえかよ!戦後すぐに当時最先端の音楽に触れることができたなんて、羨ましいを通り越して憎たらしいわ!最近は楽譜よりもこういう本を読むことに時間を割いているのでありました。そのうち国会図書館へ行ってみよう。やはり昔の人の残した知識や財産は有効利用すべきです。それができるのは地球上では人間だけなのですから。