Soniccell Philharmoniker(ソニックセル・フィルハーモニー管弦楽団)の結成準備中の巻

ソニックセルは最大16パート(チャンネル)しか使えないので、真面目にフルオケをやろうとすると、いろいろしんどいです。Rolandは一時期32パート音源を出していたのに、なぜかやめてしまいました。32パートあればかなり余裕があるので残念です。仕方ないので、楽器別にDAWで多重録音しようと考えていました。しかしいろいろ考えているうちに、というかマニュアルとニラメッコしているうちに、16パートでできそうなことがわかったので、ここに書いておきます。

<基本的な考え方>
MIDIのチャンネルメッセージはその名のとおりチャンネル単位で動作するので、同一レベルでコントロールするものは、とにかく同じチャンネルに押し込む。ベロシティ差や発音域によるスプリット機能を活用すれば、1チャンネルで複数の音色を個別に鳴らすことが可能。

ノートオン・オフはもちろん音色(プログラム・チェンジ)は当然チャンネルメッセージです。あとコントロールチェンジ(CC)もチャンネル単位です。CC11:エクスプレッション(強弱)でフレージングやアーティキュレーションを作りますから、音色が別でもフレージングが同じ場合は積極的に同じチャンネルにまとめましょう、という考えです。「2声部の持続音で、上声がクレシェンド、下声がディミヌエンド」みたいなことも、ポリフォニック・キー・プレッシャーを使えば可能なので、1チャンネルにまとめます。
注意点としては、ソニックセルはSCシリーズと同様にRPNで音色パラメタを動的に変更できるけれども、CCなのでチャンネル単位でしか変えられません。パッチ内(1チャンネル=1パッチ)の特定のトーンのパラメタを変えるにはMtx Ctrlを使いますが、変更できるパラメタは限定されます。CCは他機種との互換性がありますが、Mtx Ctrlは互換性がないので、基本的には使わないようにします。後述しますが、Mtx CtrlはNRPN代替の意味合いが強いです。
ということで、以下に設計の指針をまとめます。

弦楽器:5ch

1つの弦楽器に音色を6種類用意すると、弦五部で30チャンネルも使ってしまって爆死。
・遅いアルコ:強&弱
・早いアルコ:強&弱
・ゴリゴリ
・ピチカート
※対応法
下記のやり方で、各部を1パッチ=1チャンネルにまとめる。
・1パッチ4パートにする:ピチカート、アルコピアノ、アルコフォルテ、ゴリゴリ。
・ピチカートは音域でスプリットする。
 ⇒ピチカートのみが鳴る音域を作る。あとの3つは同音域にする。
・アルコのピアノ・フォルテ・ゴリゴリはベロシティでスプリット。
・ゴリゴリ波形はアルコフォルテにベロシティスイッチで上乗せする。104以上を目安に。
・アルコのスロー⇔ファースト切替など、エンベロープ関係はCCで動的に制御する。CC11に頼るのではなく、エンベロープでフレージングを作るイメージ。
 ⇒CC11で遅いアタックをシミュレートすると、どうしても不自然になるため。

金管楽器:3ch〜

・強弱はパッチ内でベロシティスイッチ。
トロンボーンとチューバは音域でスプリットして1チャンネルにまとめる。それぞれ強弱の音色を用意する。
 ⇒この2つは同じパッセージを吹くことが多く、強弱変化が共通なので1チャンネルにまとめて問題なし。
・ホルンは微妙に違う2種類の音色をスプリットしたトーンを、強弱で用意する。1チャンネルに2人の奏者がいるイメージ。
 ⇒ユニゾンのときに2つ同時に鳴らして合奏らしさを出すため(とても重要なテクニック)。
  曲によってはさらに増員する必要がある=チャンネルを増やす。
・トランペットもホルンと同様の扱い。チャンネルが足りないときはトランペットを優先する(目立つので)。
・アンプだけでなくフィルタのエンベロープもCCで制御し、スタカートとレガートの奏法差も動的に作りだす。

木管楽器:3ch

・フルートとピッコロは音域でスプリットして1チャンネルにまとめる。それぞれ強弱の音色を用意する。
オーボエファゴットも同様に音域でスプリット。
クラリネットは独立して扱う。(こいつだけシングルリード&開管なので)
木管はブレスコントローラで制御するイメージ。これはすなわちポリフォニック・キー・プレッシャーなので、繊細な演奏表現が必要な場合はそれを使うべき。
TUTTIにおいては、ピッコロ以外のアーティキュレーションは基本無視で。どうせ聞こえない。(鬼畜)
・管楽器は凝りだすと止まらないので、ある程度の妥協は必要。
 ⇒小さいアンサンブルほど人数分の発音源を用意しないと不自然になるので注意。

その他:〜5ch

・打楽器:ティンパニは別に用意する。
・ハープ:同時発音数を消費しまくる困った楽器。
・ピアノ:同上w
 ⇒同時発音数が足りなかったらピアノとハープは別録音にしてDAWでミックス。

おまけ:NRPN終了のお知らせ

ソニックセルではNRPNは使えなくなりました(涙)。
MIDIインプリ詳細を見ながら「・・・ない。ない!NRPNがない!」と焦る私の気持ちを誰かわかってください。一覧チャート(マニュアル273ページ)に「NRPN:×」と書かれていて糸冬了です。うがー。NRPNの代わりにMtx Ctrlがありますが、なんでもかんでも制御できるわけではないのです。
⇒NRPNで動的にパラメタを動かすことはないので、実用上は影響ないです。たとえばドラムセットを組みかえたかったら、エディタで作ったデータ(SysExになってます)をSMFに吐き出してシーケンスデータにくっつければよいのです。